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第24話
未来家訪問計画は、蒼真の素早い行動によりすぐに決まった。
「ただいまぁ~」
「「「お邪魔しま~す」」」
次の日が休みの土曜日のレッスンの本日。
三人は未来と共に加藤家の玄関のドアを開けた。
「いらっしゃいっ。どうぞ入って?大したお構いできないけど、ゆっくりしてってね」
「「「ありがとうございます」」」
ひらひらのエプロンを身にまとい、柔らかな笑顔で迎え入れてくれたありさ。
未来とそっくりなその笑顔に、蒼真と綾人は大和の言う通り、いやそれ以上に綺麗な人だなと胸を高鳴らせた。
煮込みハンバーグやキッシュ、サーモンのマリネやジャーマンポテトにクラムチャウダーなど。
どれも彩りよく盛り付けられた洋食が、テーブルの上に所狭しと並んでいる。
各自席につき、ありさの手料理を美味しい美味しいと一通り味わった所で、蒼真がスープスプーンを咥えながら恍惚とした表情を浮かべた。
「まじで本当に羨ましいですっ。こんな超綺麗で優しいお母さんの子に、俺も生まれたかったなぁ~っ」
心底羨ましいと言う蒼真に、元から高いありさの気分はさらに上昇していく。
「まぁ、蒼真君ったら。嬉しい事言ってくれるわね。もっと沢山食べてねっ?あ、でもケーキも焼いたからその分はお腹残しといて欲しいけどっ」
くすっと笑って照れ笑いするありさに、未来以外の三人は笑顔を浮かべるが。
「は?ケーキもあるの?そんな沢山皆食べれないよ。まだ料理もこんな残ってるのに…」
テーブルの上以外にも、どうせありさの事だから鍋やフライパンに、お代りの料理を作っているに違いないと未来は確信している。
誰がそんなに食べるのか。
自分は既にお腹いっぱいだぞ、と未来は思う。
「そう、か…。ちょっと作りすぎちゃったかしらね。あ、皆無理して食べなくてもいいからね?残してくれて全然いいから」
久しぶりに食べる大人数での食事と、食べ盛りの男の子という事から、張り切ってしまったのだが、確かに未来の言う様に、皆が皆沢山食べれるとは限らないなと反省し、ありさはしゅんと肩を落とした。
「いや、大丈夫です。美味しいんで全然食べられますよ。なぁ?」
「はい、レッスン後でお腹も減ってましたし」
「うん、俺甘いものも超好きなんで、ケーキも楽しみにしてますっ」
大和に続き、綾人も蒼真も、口を揃えてのまだまだ食べれる宣言にありさの表情が晴れ渡る。
「まぁ本当?良かった。やっぱ男の子はそうでなくっちゃね。未來は少食だから、いつも作りがいがなくてつまらないのよ」
「っ、それはすみませんね~」
るんるんと弾む声のありさに、さらりと嫌味を言われて未来はバツの悪そうな顔をする。
「はははは。未來細いもんな~。もっと沢山食って肉つけた方がいいよ」
「うん、俺もそう思う。今細すぎてちょっと心配だし」
年齢の割に小柄な体型の未来。
それでも顔立ちが中性的な為、バランスは悪くないがもう少し肉付きが良くてもいいのでは?と大和と綾人は思う。
「いや、大丈夫です。僕は僕なりに食べてるんで」
しかし二人の心配な思いは未来には届かなかった。
「え~?こんな量でギブしてたら食べてるうちに入んないよ。はい、これもこれも食べて」
伝わらないのなら強行突破と、蒼真が未来の取り皿にハンバーグとキッシュとフランスパンを2切れ乗せた。
「あっ、ちょっ、こんなもう食べれないですよっ」
せっかく空にした取り皿が見る間に埋まってしまい、未来は抗議の声をあげるが。
「そんな量ないだろ?食える食える」
「そうそう。大きくなれないよ?」
「っ、そんな…!」
大和と綾人にせっつかれ、箸までご丁寧に持たせられた未来は、不満に満ち溢れた表情を浮かべながらも、渋々料理に手を出し始めた。
そんな未来の様子をありさはくすりと笑い見つめ、やはり皆で食事をするのは良い事だなと思った。
それに、こんなにも面倒見のいい兄の様な少年達が未来の傍にいてくれるなら、自分としてはとても安心だ。
未来を是非オリバーへと明彦にせがまれた時は、時期尚早だと首を横に振ってしまったが、彼の言う通り未来をオリバーに入れて良かったのかもしれないとありさは思った。
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