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第3話

「体験してみる?」 「何の?」 「夫婦の体験。僕が妻になってあげる」 「ええッ!?」  秘密だが、実は怜也が初恋の相手だった凱だ。  興味津々の提案ではあったが、そこは手放しで喜んでみせるほど素直な男ではなかった。 「よせよ、面倒くさい。四六時中監視されるなんて」 「原稿の締め切りはいつ?」 「2週間後」 「じゃあ、2週間は夫婦でいようね」 「おい、本気かよ」  日中は勤務があるので、四六時中ではない。  それに、監視だなんて人聞きが悪すぎる。 「いいものか悪いものか、体験して見なきゃ解からないよ?」 「そうだけどよ」  じゃあ決まり、と怜也はこの日この時から凱の妻になった……、つもりになった。

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