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第4話 彰、人間界に絶望する。

「ああっ、あっ、い!うっ・・・やめっ」 チュパッ、チュウ、チュパッ、チュウ  ベットに両手を拘束された彰は下肢をアルカシスにM字固定され、そそり勃つ陰茎を舐めしゃぶられていた。 彼の口腔内に無理矢理含まされた自身は、丁寧に舌で彰が感じる部分を刺激する。彼の舌がレロッと裏筋を舐めた途端、彰は腰をビクッと痙攣させ彼の口腔内に精液を放った。 アルカシスは彰の精液を味わうようにゆっくり嚥下すると、絶頂の余韻に浸る彰の顔を眺めた。 「ショウのミルクは甘くて美味しいね。まるで果汁そのものだ。後5日だがそろそろ私に堕ちる気になった?」  優雅に微笑む彼に対して彰は目頭に涙を溜めていやいやと首を振った。この態度に、彼は全く、と言わんばかりに嘆息した。 「ショウ、私相手に意地を張る必要なんてないんだよ。君は私の#性奴隷__ペット__#だ。贅を尽くした生活でも、君を虐めてきた両親や会社への復讐でも、何でも願いを叶えてあげる。だから素直に堕ちておいで?」  彰の頭を撫でる彼の表情は、愛おしい者を愛でるかのように慈愛に満ちている。しかしその笑顔の真意を、彰は理解している。この男の恐ろしい程の狂った愛情を。  やはり、彼は怖い。 殺されはしないかもしれないが、それ以上の彼の執着さに全身が身震いするような恐怖を感じていた。 「やっ、イヤ・・・!」 彼への恐怖から震えが止まらない。 どうして自分に執着するのか。  彰の拒否を聞いたアルカシスは、一旦彼から離れると、化粧に使うサイズ程の丸い鏡を持って来た。 アルカシスはベットに腰掛けると、その鏡を彰に向けて言った。 「これは人間界の様子を映し出す事ができる鏡だ。現在の様子を見せてくれる」  鏡はそのまま人間界の様子を彰に見せた。 最初に映されたのは自分を勘当した両親と兄だ。鏡に映る兄は、隣に綺麗な女性を連れて両親と何気なく雑談している。彼女も楽しそうに笑っていて、和やかな雰囲気になっている。どうやら結婚の挨拶で、兄が両親と話しているようだ。 鏡を見ながら、アルカシスは言った。 「これは君の兄かな?隣にいる女性は彼の婚約者のようだね。とても幸せそうだね。ーー君は、私に組み敷かれて恐怖で支配されているというのに」 ドクン。  彰はアルカシスの言葉に事実を的確に突かれ胸が高鳴る。  子どもの頃から両親は兄ばかりに愛情を向けていた。昔からいじめられていた自分は、祖母だけが味方でいてくれた。でも自分が高校を卒業してすぐ祖母は亡くなり、誰からも自分はいないものとして扱われ、進学も頓挫された。祖母だけは、唯一進学をしなさいと言ってくれたのに。 「こちらには、君を心配して探してくれる者はいないようだね。次を見てみようか」  アルカシスの言葉を合図に鏡が家族から自分が働いている会社へ映像が変更された。会社は、普段通りだった。誰も自分を心配してくれず、むしろ自分がいた頃より社内の雰囲気が穏やかな感じに見える。 「こちらにもいないね。君を気にかけてくれる人間が。まるで最初から君は存在しなかったのようだ」 ドクン、ドクン。  アルカシスに事実を突かれさらに胸が高鳴るのを感じた彰は、普段自分を人格から否定して罵倒していた上司が映されているのを見て驚いた。  彼は、部下の社員と仲良く雑談している。さらには別の社員にも気にかけて声をかけている。自分には全くなかったのに、いなくなって心配どころか自分は最初からいなかったかのように扱われて、怒りと悲しみが同時に湧き出た。  自然と涙が溢れ出る。 アルカシスの前で事実に耐えきれず、ずっと泣いている。 泣いている彰を見て、アルカシスは優しく彰の頭を撫でる。その手に今までの人達とは違う温もりを感じた彰は、さらに涙を溢した。 「可哀想に。誰もショウを気にかけてくれる人間がいなかったんだね。でも大丈夫だよ、ショウ。私がいる。私が毎日君に愛を与えてあげる」 「愛、を?」  今まで恐怖しか感じなかった目の前の男が、自分の頭を撫でるその表情にどこか安心できる心地を感じてしまう。  アルカシスの言葉を聞いて彰はさらに声を上げて泣いた。 彼の言葉の真意には自分を堕とす奸計(かんけい)が含まれているのは分かる筈なのに、今は自分を知る者達から無いもの扱いされた事実の方がつらくて悲しかった。 誰も自分を気にしてくれる人はいなかった。  その事実が、彰には重く胸に突き刺さった。 泣いている彰の額に、アルカシスは優しくキスを落とす。キスに気づいた彰は、泣くのを止めて彼を見上げた。  彼は、彰に優しく微笑んでいる。 「ショウ。私の性奴隷(ペット)になりなさい。なれば、私が毎日君を可愛がってあげる。毎日私が愛してあげる。愛しているよ、ショウ」

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