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第2話
澪は知っていた。
この、不良に片足突っ込んでいるような高校2年生が、実は温かい心を持っていることを。
クラスでいじめが発生した時、主犯格の生徒をシメた。
鳴いている捨て猫を、連れて帰った。
貧しくて昼食が食べられないクラスメートに、おむすびを作ってきた。
「何で知ってるんだよ」
「情報通の僕を侮らないでね」
それで、と澪は探るような視線をよこした。
「OKしてくれる?」
「解った。付き合おうぜ」
「やったぁ!」
澪は、瞳をキラキラさせている。
「じゃあ、新しくオープンしたカフェに行こう!」
「ホントに新しいものが好きだなぁ」
まあ、いい。
色々な、お喋りをしよう。
人気のスポットへ行って、流行のフードを食べて。
澪と楽しく、デートしよう。
そんな、明るい未来を蒼大は夢見た。
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