4 / 19
第4話
テーマパークへ出かけ、新しいアトラクションに二人は並んだ。
二時間待ちの、長い列だ。
すぐに蒼大は音を上げた。
「もっと人の少ない所にしようぜ」
「絶対、待つ甲斐あるから!」
蒼大を退屈させまいと、澪は喋り立てた。
流行の音楽、話題の映画、最新のゲーム。
「澪。俺の聞きたい話、喋ってくれるか?」
「いいよ。何?」
お前の事が知りたい。
「実家はどこか、小さい頃に何してたか、なぜ県外からうちの学校を選んだのか、とか」
澪はとたんに口ごもった。
「周りに人がいるから、イヤだな」
列が進み、この話題はここまでになった。
澪はやはり、トレンドについて喋るだけだった。
ともだちにシェアしよう!