6 / 19

第6話

 澪の住む男子寮へ、蒼大は到着した。 「澪、開けてくれ」  間もなく、ドアが細く開かれた。  だがしかし。 「蒼大、僕たち別れよう」  そんな言葉と共に閉ざされるドアの隙間に、蒼大は素早く足を挟んだ。 「待てよ。だったらせめて、理由を話せよ」  何も言わずに、ただ涙を零す澪だ。 「お前、俺のこと頼りになるって言ってくれたよな。今が、その時じゃないのか?」  蒼大の説得に、ドアは開いた。  澪の出した紅茶を飲みながら、二人は無言だった。  やがて、澪が重い口を開いた。 「僕の実家、すごい田舎なんだ。市や町じゃなくって、村」  子どもの頃は、虫捕りしたり、川で泳いだりしたよ、と話す澪。 「可笑しいでしょ。トレンド追ってる人間が、実は田舎出身だった、なんて」 「そんなことない」  ちゃんと最後まで話してくれ、と蒼大は優しく促した。

ともだちにシェアしよう!