10 / 19
第10話
苔むした大きな岩の上に祀られている石造りの祠は、小さかった。
人一人も入れないほどだ。
「俺、霊感とかないから何にも感じないや」
今夜、澪がここへやって来る。
クチナワサマへの、贄として。
蒼大は、祠に向かって呟いた。
「絶対に、澪は渡さねえからな」
そして、祠に背を向け下山した。
野営の準備をしなければならない。
よし、あの祠の近くにキャンプ張るか。
クチナワサマに挑むような気持ちで、蒼大は歩いていた。
ともだちにシェアしよう!
fujossyは18歳以上の方を対象とした、無料のBL作品投稿サイトです。
10 / 19
ともだちにシェアしよう!