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第9話
バス、新幹線、電車。
交通を乗り継ぎ、半日かけて澪は里帰りをした。
蒼大も一緒だ。
澪は、俺が守る。
そう勢い込んで来たのはいいが、泊めてもらうわけにはいかない。
古い信仰が根強く残っている地域だ。
クチナワサマに歯向かうために来たと知れれば、追い出されるだろう。
「大丈夫、野宿するから」
「だから、そんな大きなリュック持って来たの?」
蒼大は山岳部だ。
野宿なんて、お手の物だ。
(それに、この荷物は切り札だからな)
「後で連絡してくれ。絶対だぞ?」
「うん。ありがとう」
砂利道を去ってゆく澪を見送った後、蒼大は荷物を藪に隠して山を登り始めた。
クチナワサマの祠を、この目で見ておきたかったからだ。
標高1000m以下の山なら、楽に登れる。
山道を歩き、蒼大は祠を見つけた。
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