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第12話
白装束の澪は、松明を持った大人に挟まれるようにして、祠の前まで歩いて来た。
松明は祠の左右に灯され、辺りは明るくなった。
「じゃあ、儂らは行くから」
「贄の御勤め、しっかりな」
大人たちは澪を祠の前にすると、下山していった。
「贄の御勤め、って何だ」
「びっくりしたぁ!」
祠の裏から、蒼大が現れたのだ。
「大人しく喰われろ、ってんじゃないだろうな」
「僕にも解んない」
「澪は、必ず俺が連れて帰る」
その言葉に、澪は瞼を閉じた。
(クチナワサマ、お願いです。僕はどうなってもいいですから)
蒼大だけは、無事に山から下してください。
そう心の中で唱えた時、祠の扉がゆっくりと開いた。
「石の扉が」
「内側から、開いて来る!」
蒼大は、思わず澪を抱き寄せた。
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