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第13話

 やがて祠から、二筋の光が進んできた。  それはたちまち男の姿となり、蒼大と澪の前に現れた。  頭に烏帽子を乗せた、狩衣のいでたち。  まず、蒼大が口火を切った。 「あんたらが、クチナワサマか?」 「ヒトは我らを、そう呼んでいる」  それはそうと、と今度は男が問うた。 「贄は、どちらかな?」  蒼大も負けてはいない。 「もう贄なんて因習やめろよ。時代遅れだぜ」  男の体から発せられる光が、揺らめいた。  澪は慌ててしゃがみこんで、地に額を擦り付けた。 「申し訳ございません、クチナワサマ! 蒼大だけは生かしてください、お願いします!」  そんな澪の肩にそっと手を置き、男は微笑んだ。 「時代遅れの因習か。そうかもしれぬ」 「我らも、疲れてきた」

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