14 / 19
第14話
男は、これまで贄をどう扱ってきたかを語った。
「贄は、我らの子として大切に育てていた」
この言葉には、蒼大と澪は顔を見合わせた。
てっきり、食べられると思っていたのに!
「我らは愛し合っておるのだが、男同士。子宝に恵まれぬ」
「そこで人の子を貰っておったのだ」
だが、と男はうなだれた。
「やはり我らと共に暮らす事は難しい」
「贄は、やがては死んでしまった」
なるほど、と蒼大は思った。
それで数年に一度、贄を新しく捧げさせていたわけか。
「そんな事やめなよ。子を奪われる親の身になってみろ」
確かに、と男は悲痛な表情だ。
「愚を繰り返し、ようやくそれに気づいたところ」
「これで決心がついた。礼を言う、人の子よ」
それで、我らを焼いてはくれぬか。
蒼大のリュックを指し、男たちは声をそろえて言った。
「バレてたのか!」
「一体何を持ってきたのさ?」
蒼大はリュックからポリタンクを抱え出した。
「灯油。いざとなったら、これで燃やしてやろうって」
「何て罰当たりな!」
ともだちにシェアしよう!