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第15話
「よいのだ、贄の子よ」
「ようやく我らに意見する者が現れた。嬉しく思うぞ」
さあ、と男たちは前に進んだ。
「その炎の水を我らに」
「そして、火をかけてくれまいか」
ここまで来て、蒼大は怯んだ。
たとえ怪異と解っていても、ヒトの姿をしたものを殺めるなんて!
灯油を持つ蒼大の手に、澪の手が重ねられた。
「やろう、蒼大。僕も手伝う」
「澪」
「もし祟りがあっても、二人で被ろう」
「解った」
蒼大は澪と共に、寄り添い合う男たちの周囲に灯油をまいた。
「クチナワサマ、本当にこれでよろしいのですか?」
澪が、切羽詰まった声を絞り出す。
「よいのだ、贄の子よ」
「最後に、孝行息子を授かったと思う」
蒼大が、ライターで火をかけた。
見る間に燃え上がる、男たち。
澪は両手で顔を塞いで、下を向いていた。
そこに、蒼大の声がした。
「澪、見てみろ。クチナワサマを」
「ヤだ」
「いいから見ろ、って!」
恐る恐る澪が見た光景は、聖なる輝きに満ちていた。
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