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第11話

「恋!?」  電話口の令司の声は、驚いていた。 「恋だよ!」  まだ尚が経験したことのない、最高にハッピーなこと。  それは、恋だ! 「アテはあるのか。尚の相手に」 「俺」  ぶう、と令司は吹き出した 「お前!?」 「尚って可愛いと思わないか?」 「いつからだ。その感情は」 「そんなのどうだっていいじゃん。あいつの笑顔、最高にイイんだよね」  初恋か、と令司は頷いた。  でなければ、あれほど尚に執着するはずがない。 「じゃあ俺は、全力で応援するよ」 「恩に着る!」  映画に誘ってみようと思う、と伝えて泰彰は電話を切った。 「恋だ!」  泰彰は、両腕を突き上げた。  尚が好きだ。  尚の笑顔が好きだ。  あいつは、もっともっと笑わなきゃいけないんだ。 「そして、その隣に俺がいれば最高」  うまくいけばいいな、と考えながら泰彰は眠りに就いた。

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