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第10話

 尚の訴えに、令司は言葉を失った。  令司より直情的な泰彰は、必死で説得した。 「やめろよ、消えたいだなんて。この先、もっとハッピーなこと一杯あるさ!」 「でも保護が解かれれば、また親と一緒に暮らさなきゃならない」  心配するな、と令司も思わず声を上げていた。 「俺が父さんに頼んでやる。弁護士なんだ、父さん」  その言葉に、尚の瞳に少しだけ光が差した。 「本当?」  本当だ、と令司は頷いた。  彼の提案に、泰彰は唸っていた。 (さすが令司。現実的だ)  それに比べて俺は『もっとハッピーなこと』とか!  いや、そうだ。  まだ、あったぞ。  尚が経験してない、最高にハッピーなこと!

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