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第9話

 放課後、三人は再び理科室に集まっていた。  例の薬の使い道を探るためだ。 「原発の廃炉に、かけたらどうだろ」 「放射性物質との相性は、未検証なんだ。リスクがある」 「産業廃棄物は?」 「どんな有害物質が潜んでいるか解らないんだ。危険だから却下」  泰彰は口を尖らせた。 「使えそうで、全然使えないじゃん」  そこへ、尚が囁いた。 「僕に」 「え?」 「僕に、かけてくれないかな。その薬」  何て事言うんだよ、と泰彰は叫んだ。 「溶けて消えちゃうんだぞ!?」  だからだよ、と尚は言う。 「僕、生きてきた中で、今が一番幸せなんだ」  学校に行けるし、美味しいお弁当やお菓子も食べた。  そして何より、友達ができた。 「これ以上の幸せは、この先無いと思うんだ。一番幸せな時に、消えて無くなりたいんだ」

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