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第8話
「おはよう!」
「……おはよ」
朝、尚から初めて挨拶の返事があった。
「はい。今日の弁当」
「僕、何のお礼もできないよ」
お礼なんか、と泰彰は慌てて手を振った。
「お礼が欲しくて、やってるんじゃないから」
「じゃあ、どうして?」
「友達になりたいから。相葉と」
「友達? 僕と?」
尚は、真っ赤になって下を向いてしまった。
あ。
何か、可愛い。
「僕と友達になったら、いじめられるかも……」
「そんな馬鹿な!」
そして、そんな奴は返り討ちにしてやるから大丈夫だ、と令司が割って入ってきた。
「俺も、相葉くんと友達になりたいな」
「尚、って呼んでもOK?」
友達がいきなり二人もできたのだ。
尚は小さく頷くと、黙って窓の外を向いてしまった。
そんな仕草に泰彰と令司は、微笑んだ。
照れ臭いんだな、きっと。
「お昼、一緒に食べようぜ」
それだけ言うと、自分の席に戻った。
尚は、目に涙を浮かべていた。
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