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第7話

 放課後、三人は理科室に集まっていた。  今度は令司が菓子を出すと、尚は驚いた。 「お菓子……」 「甘いものは適量ならば、脳にいい」  弁当で差を付けられたので、おやつで挽回の令司だ。 「食べていいの?」  もちろん、と泰彰は手近にあったチョコを一粒、尚に渡した。  尚はチョコを口に運んだ。  舐めて溶かして、噛む。  幸せそうな笑顔が広がり、泰彰も令司もほっとした。 「どんどん食べよう」  結局その日は、薬の使い道より教室の噂話などで終わってしまった。  それでも、泰彰は満足だった。  尚が、少しだけ心を開いてくれたようだったから。

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