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序章

 老王は青の花をひとつ手にして、遺骸を埋葬した埋墓に手向けた。墓の周りは青の花に囲まれ、老王の後ろには青年が二人、王にそっくりな姿形で立っている。  ドーラントという国は、広大な領土を治め、数十年前の流行り病の影響でたいへん医療が発展していた。  民は、獣人と人間が入り交じる。雄と雌のほかにさらに細分化された複雑な性であるアルファ、ベータ、オメガという三つのバースが存在した。獣人がアルファを占め、ベータは人間に多い。その中でオメガは極めて少ない。ただ、お互いが求め合うという運命の番いというものがあるという。  変わらないのは獣人が人間を支配し、国を治める。この世界ではあたりまえの道理であったが、今はない。

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