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四話

  「っあ……そこ…はぁ」 「ん?…ここ、か…?」 「あぁー、いい……上手になってきたねぇ」 下に寝そべる男の顔は気持ち良さそうに声を漏らして嬉しそうな顔をする 「ったく…どんだけ、硬いんだよ…アンタ」 「んっ……あぁ…イキそう」 腑抜けの顔でそんな事を言う男に、流石の俺も我慢が出来ずに力を強くした 「あっいたいいたい!」 「アンタが変な事言うからだろ!」 「えー、だって本当の事だよ?」 「~~~ただのマッサージにイクとか言うなっ」 「わ、分かった分かった…だから力任せに背中押さないでっ」 相当痛いのか、顔を歪ませてギブというように手をバタつかせる男…雅に俺は渋々許して背中から退く 昼飯を食べ終わった俺達は残りの時間で互いにマッサージごっこをする事になった と言っても、俺は若いからそんなに凝ってない為に直ぐに済んだが で、次は雅の番になりマッサージをしてた…んだが、コイツは肩から背中までガッチガチで硬すぎて解すのでも疲れる なのに本人は変態じみた声を出すし、イクとかふざけるしでこっちの身が保たない 「…怒った?」 「さぁなっ」 「……ごめんね。ちょっとふざけ過ぎたよ…だから、嫌いにならないで?」 シュンと落ち込む姿の雅に俺はいつも弱いと思う そもそも怒ってなんかいないし、嫌いになるならとっくにコイツから離れてる 「……放課後まで寝かしてくれるなら、許してやる」 「本当?」 明らかに嬉しそうにするコイツの姿はまるで子犬みたいで……可愛いと思う 見える筈のない尻尾がブンブン振っているくらい、雅は分かりやすい 「本当。だからってエロい事は無しだけどな」 「分かった…メチャクチャにするのは帰ってからにするよ」 「~~~~~っあからさまに落ち込むな変態ジジィ!」 つい”メチャクチャにする“に反応してしまって赤くなる顔を誤魔化すように怒鳴りベッドに潜り込む 雅はいつも直球で思った事も直ぐに口にするような奴だが、実は優しかったりする 変態でドスケベで見境無い時もあるが、こう見えて実は優しかったり…するんだ 「じゃ、ゆっくり休んでね。担任には僕から伝えとくから」 「…ん」 「それから、ちょっと熱あるよね?帰りは僕の車で帰ろう」 「……ぅん」 「放課後、僕が来るまで居ていいよ」 ほら、やっぱり……コイツは優しい ムズ痒くなるくらい、俺に優しい時があるから嫌でも伝わる 愛してくれてるんだって でも時々、不安になる 俺は……俺はちゃんとコイツを愛しているのか ちゃんと同じくらい愛を返せているのかが 同じくらい、不安になる 顔を出した俺に優しく、安心させるように髪を撫でて額に軽く甘いキスを落として愛おしそうに微笑む雅は机に置いている弁当箱を片付けに行った (……いつか、捨てられる事になったら…俺はちゃんとそれを受け入れられるだろうか) そんな事を密かに考えて、俺は熱のせいもあって眠りについた

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