1 / 5

第1話

「ほら、おいで」 眠りにつく前に、そう言われるのが好きだった。 ベッドから伸ばされた手に吸い込まれるように、身を寄せる。無骨な手が頭にぱふりと乗り、優しく撫でる。 もっと温もりが欲しくて胸に頬ずりをすると、(かおる)はシーツの中に入れてくれ、仕方がないなぁとばかりに抱き締めてくれる。 「甘えん坊なレオが大好きだよ」 レオがぐるぐると喉を鳴らすと、こめかみにふわりとキスが落とされた。 「ああ、良い香りだ。堪らなくなるよ」 馨は首筋に鼻を埋めて香りを堪能する。 二人を包むのは、いつも花の香り。 毎夜のそれは、至福のひとときであった。

ともだちにシェアしよう!