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第1話
「ほら、おいで」
眠りにつく前に、そう言われるのが好きだった。
ベッドから伸ばされた手に吸い込まれるように、身を寄せる。無骨な手が頭にぱふりと乗り、優しく撫でる。
もっと温もりが欲しくて胸に頬ずりをすると、馨 はシーツの中に入れてくれ、仕方がないなぁとばかりに抱き締めてくれる。
「甘えん坊なレオが大好きだよ」
レオがぐるぐると喉を鳴らすと、こめかみにふわりとキスが落とされた。
「ああ、良い香りだ。堪らなくなるよ」
馨は首筋に鼻を埋めて香りを堪能する。
二人を包むのは、いつも花の香り。
毎夜のそれは、至福のひとときであった。
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