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散々乳首を弄った指先は、そこから離れてあちこちをさ迷う。触れられる先からざわざわと肌が粟立つようだ。
指先とはまた別の意思があるように、器用にも腰をゆっくりと動かしていく。けして、激しい動きはせず。
ゆっくり、ゆっくりと。内を掻き回したり、抜き差ししたり。
「んっんんんっ」
声を出したいのに、唇を塞がれてて儘ならない。口のなかも掻き回され、唾液が滴り落ちる。
甘い痺れがじんわりと全身に行き渡り、やや落ち着いた感のあった中心に、再び熱が溜まる。
オレは激しく首を振り、唇を離した。
「ハル……遙人、も、オレ、いく……っっ」
思いも寄らない程の切ない声が漏れ、ぎゅっとその背を掻きいだく。
「いいよ、詩雨、イッて」
( え……っ、それ、いま、いうかぁ~~……)
今までもどかしいくらいに優しく動いていた遙人が、急に大きく動いた。嵐が起こりそうな予感。
いったん、入口付近まで昂りを引き抜き、パンッと音がするくらいに、強く叩きつける。
「やっっ」
今までにないくらいに奥を突かれたように感じた。
その途端に、背筋を電流が駆け上り、眼の前がチカチカする。
オレは自分の腹にも、彼の腹にも白濁を撒き散らした。
もう少しも身体を動かすこともできないオレに構わず、何度も何度も叩きつける。
パンパンッと肌と肌がぶつかり合う音と、内側でぐちゅっぐちゅっという密やかな水音が、静かな部屋を支配している。
「あっあっんっ」
突かれる度に勝手に漏れてしまうオレの声も、部屋中に響き渡り、それがまたオレを煽る。
甘くじんわりと痺れるような、さっきまでの感覚とは、まるで違う。
身体中を何かが駆け巡り、戦慄かせる。
自分がどうなってしまうのか分からなくて、怖い。酷く不安になるくらいに。
これが、気持ちイイということ?
まだ、今日が二度目の経験。SEX の気持ち良さが、分かっていない。
でも、たぶん、そう。
怖くて。不安で。── 気持ち良くて。
何かに縋りたくなる。
オレは力の出ない両腕を、それでも、遙人の背中に回し、ぎゅっと抱きつく。
「ハル、遙人。怖いっ。オレ、オレ、もう、ダメだからぁっっ」
自分でも何を言っているのか分からない。
荒く息を漏らしている遙人も、もう余裕がないのか、何も言わない。その代わりに、首筋をちゅうっと強く吸い上げる。
彼は一旦昂りを先っぽまで引き抜くと、今までにないくらいの勢いで。さっきよりも更に奥を突き上げた。
「ん~~~~っっ」
オレは手足の先をぴんと張り、喉を反らせ、それに耐えた。
コンドーム越しに感じる、熱い精液が全て吐き出されるまで。
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