7 / 7

第6話

「それに、ダメって言っても無駄だよ?もう、父さんたちは説得してきたんだから」 いくつもいくつも零れ落ちる涙を指で掬いながら告げると、目をまん丸にした。 「ええっ!?大丈夫だったのか!?」 「うん。最初は、驚いてたけどさ…一生懸命説得したら、わかってくれた。まぁ、うちの親って変わってるしね。妙に、寛大なとこあるし?」 「そうだけど…」 「俺の留学費用も、ぽーんと出してくれるってさ。俺の方のじいさんが資産家で、ラッキーだよな」 「…おまえって…」 翔月は、呆れたように呟いたけど。 次の瞬間には、ふわりと微笑んだ。 春の陽だまりのような、大好きな笑顔で。 「いつの間にか、大っきくなっちゃって…あんなに可愛かったのになぁ」 どことなく悔しそうな声音に、つい笑いが込み上げた。 「俺だって、いつまでも翔月の後をくっついてたチビじゃないの。ちゃんと傍で見てないから、知らなかったんだろ?」 「むぅ…」 「そういう翔月は、全然変わってないよね?いつも兄貴ぶって、一人でぐるぐる悩んで、一人で勝手に結論出しちゃうとことか」 「う…すみません…」 「これからは、なんでも話し合って決めること!俺だって大人になったんだから!」 これから先はずっと 二人で同じ歩幅で歩いていくんだからさ 「うん」 翔月の大きな手が、俺の頭を引き寄せて。 コツンと、おでことおでこがくっついた。 「じゃあ、陸。早速一つ、提案があるんですが?」 「なんだよ?」 「…今すぐに、可愛い唇にキスしたい」 「っ…そういうことはっ、いちいち言わなくていいっ…!」 言いかけた言葉は、すぐ間近にあった甘い唇に吸い取られて。 一つに重なりあった俺たちを、窓から差し込む柔らかな陽射しが包み込んだ。 《End》

ともだちにシェアしよう!