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2022年 春……②
直人は震える手で、コメントに返信し始めた。この投稿主は、竜平なのか……。
(もしそうなら。彼は、今でも僕を好き……?)
『R・Kさんへ。もしかしたら僕は、君の言っている人かもしれません。そうであれば、謝りたい。最後の日に言ったことは、全部嘘です。ずっと、君が好きでした。今でも、その気持ちは変わりません。N・S』
一気に入力して、直人は詰めていた息を吐いた。気持ちを伝えられたことに、ほっとしたのだ。ただ一つ不安なのは、これが本当に竜平なのかということだった。
(もし、別人だったら……)
その時、パッと返信が表示された。
『N・Sさんへ。俺はずっと、あなたのことを考えていました。その時間は、とても貴重なものでした。失った物のことを考えていた時間は、決してもったいないものではありませんでしたよ』
(――竜平だ)
直人は、確信した。これは、初対面の時に彼が告げたフレーズだ……。
こらえきれず、涙が頬を伝った。
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