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第4話

 七央の家は何代も前から続く老舗旅館。そこの長男として生まれた七央は、れっきとしたお坊ちゃまだ。加えて眉目秀麗、しかもそれが稀少なオメガ性ときたら、周りは彼の庇護を強固にする。  けれど屈強な大人に囲まれて過ごす事に窮屈さを感じていた七央は、それに反発し度々大人達の目を盗んでは家を抜け出した。困った大人はお目付役を探した。そこで白羽の矢が立ったのがオレだった。  元々母親同士が旧知の仲で、半年の差はあれど年齢も学年も一緒ならと、七央の母親はオレの母にオレが生まれる前から『うちの七央をよろしくね』とお腹に向かって言っていたそうだ。ちなみに名前が似ているのも『兄弟みたいで可愛いじゃない』とお花畑感覚で付けたらしい。これはまぁ、気に入ってるからいいんだけど。  こうして七央の忠実な従者で仲の良いベータの弟として、オレは生まれながらに居場所を与えられたのだ。

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