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この先プラトニックにつき【相談編】8
「うっっっま!!!!!」
夕飯を作り終え2人で一緒に食べ始めると、爽の雄叫びがリビングに響き渡った。今日は2人で料理したから、品数も多いしめちゃくちゃ豪華だ。
メニューは…デミグラスソースときのこのハンバーグ、半熟卵のシーザーサラダ、マグロとアボカドのワサビ醤油、鶏ガラと生姜のスープ。
2人で…って言っても、爽はお料理苦手だからほとんど俺が作ったんだけどね?
爽と一緒に暮らすようになって、俺は本当に料理が大好きになったんだ。元々家事は得意だし好きだったけど、実家暮らしだったから料理だけはほぼほぼ母親に頼っていて…そんなに得意ではなかった。
それが……
毎日作る相手がいて、その相手が大好きな人で、そして毎回美味しいって褒めてくれるんだから……頑張れるに決まってる。
俺が料理を好きになれたのは、100%爽のおかげ。
大好きな人に手料理を食べてもらえる幸せを教えてくれて、心から感謝だ。
「………うますぎっ!!!!あき……このハンバーグ肉汁が半端ないっ!!!また腕上げたなっ!!!」
「えへへ~!嬉しい~!!爽も、手伝ってくれてありがとね?」
「俺…食器出すぐらいしかしてねーぞ…?」
「レタス千切ってくれたじゃん」
「そーだった!我ながらうまく千切れた!」
「あははっ!!もーっ爽かわいいっ!」
爽はご機嫌でシーザーサラダを頬張る。
かわいくてかわいくて困っちゃうよ!うちの王子様には!
爽を見つめながら俺も食事を開始して、その出来栄えに心の中で自画自賛してしまう。うん!めちゃくちゃ美味しい!マジで!
「…………あ!!そうだ、忘れてた!」
「!?なに?」
食事に夢中ですっかり忘れていたけど、爽の来週末の予定ちゃんと聞いとかなきゃ!!
海、行くんだから!!
まずは、海行きを了承してもらわなきゃいけないわけだけど……うまく、行くかな…?
「あのね、爽……来週末……予定ある?」
「え?……なんで?」
「その……おでかけ…したくて…爽と」
「…ハッ!まさか…デートか?」
「えっ…そう、なんだけど…」
「行く!!!!どんな予定があったってあきとのデートに行かないなんて選択肢はない!!絶対行く!!!」
「え!?予定あったの!?」
「ない」
「ないんかい!!」
「ブハッ!!!おっ前、今日キレッキレだな!」
俺のキレのいいツッコミに爽はケラケラ笑う。いや、こんなツッコミ入れてる場合じゃないって。ちゃんと伝えなきゃ!
「あの……でも、2人っきりじゃ…ないの…」
「………え?」
俺の言葉に、爽は一気に怪訝な顔に変わる。
そりゃそうだよね?
爽とは付き合う前からドライブとか、買い物とか色々行ったことあるけど…俺から誘ったのはこれが初めて。なのに、2人っきりじゃないなんて…爽からしたら嫌な気持ちになって当然だ。
「その……、恭ちゃんに誘われて…」
「ハァ!?恭介!!?」
「う、うん……」
「アイツ…!!付き合った後まで邪魔する気かよ!!!」
爽はお箸を握りしめてこれ以上無いくらいの顰めっ面でハンバーグを見つめる。
こっわ…!
爽って俺には常に優しい王子様だから、怒ったところはあんまり見たことないけど……本当に怒ったら…こんな顔するんだ……
恭ちゃん…!俺のために…ごめん!!
「………で?あのアホはどこ行きたいって言ってんの…」
「えっと………海……」
「はあああ!?海!!!!?絶対ダメに決まってんだろ!!!!」
「ええっ!?なんで!!!?」
「あきのその真っ白で綺麗な肌が焼けちゃうし、何よりお前の裸体を死んでも他人に見せたく無い!!!!!」
「いや、なんで裸前提なの!!!?」
「海パンのあきなんて、砂浜の視線独り占めしちゃうだろーがふざけんな!!!!」
「ちゃんとTシャツ着るってば!!!!」
俺だって、海パン一丁になるつもりなんて毛頭ない。俺なんて…細いし、白いし、筋肉ないし、脱ぎたいわけないじゃん!!!!
「ねぇー!!行こうよ!!ちゃんと日に焼けないようにするし、Tシャツ着るし!」
「ヤダ!!!」
「子供かっ!!!」
「子供で結構だっつーの!!!あきの裸は俺が守るっ!!!」
「もぉ~……俺、爽と海行きたいだけなのにっ…」
「だからっ……なんで海なんだよ!…別に海じゃなくても…」
そりゃ、恭ちゃん曰く"夏と海は人を大胆にしてくれるから"だけど……そんなのそのまま言えるわけない。
ええい、こうなったらアレを繰り出すしかないっ!!
爽を連れ出せなきゃ、計画は丸潰れなんだ!ここは必殺…おねだりポーズ!!!要にも効いたんだから、爽には効果抜群に決まってる!!!
俺は要にもやったように、顔の前で両手を合わせて爽を見つめる。
「…爽、お願いっ!俺、今まで友達ほぼいなくてみんなで遊んだりとか全然したことないの…もちろん海にだって家族としか行ったことないし……だから、夏の思い出作り…一緒にして?」
「……あっ…あき、でもっ…」
「爽っ…!俺、爽と一緒がいいなぁ」
爽が毎日大好きと言ってくれるこの顔を最大限利用して、俺は必死に懇願する。トドメを刺すように、最後にコテンッと首を傾げれば……ほら、効果抜群。
揺らいでいた爽の瞳はついに閉じられて…その瞬間勝利を確信した。
……落ちた。
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