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この先プラトニックにつき【準備編】7

中を綺麗にして、きちんとシャワーを浴び………ようやく浴室から出た。 用意しておいたパジャマに袖を通し、洗面所の鏡で自分の顔を見る。 「…………なんだ……俺…………泣きそうじゃん……」 今まで生きてきて、一番情けない顔の自分が写っていて……思わず本音が口から漏れた。 恥ずかしいし……怖いし……緊張で心臓が口から出そう。 それでも、俺は……… 爽が好きだ。 全部、捧げたい気持ちは…揺るがない。 だって、俺が爽にあげられるものは……きっともう他にないから。 改めて覚悟を決めて、洗面所から出るとゆっくりと爽の部屋へ向かう。普段じゃ考えられないようなスローペースで廊下を歩き、俺の中で煩く鳴り響く心臓に静かにしてくれと懇願する。 これ、ほんとにえっちする日はもっと緊張するよね……? なら、俺………マジで失神しちゃいそう。 なんの遠慮なのか、無駄にマナーよく爽の部屋のドアをノックする。爽もノックされるとは露ほども思っていなかったようで、少し間があった後、ちょっとだけ笑いを含んだ返事が返ってきた。 ゆっくり扉を開けると、部屋の中はカーテンが完全に閉まっていて薄暗い。ベッドの横に置かれたお洒落な間接照明だけがオレンジ色の柔らかい光を放っている。 うわ、なんだこのロマンチック空間……… 「し、……失礼しまーす……」 「ブハッ…!なんでだよっ!」 「えっ!?俺変!?」 「なんか…すっげー他人行儀だから」 「いや、ごめんっ…すっごい緊張しちゃって…!」 「あははっ…かわいいなぁほんと」 爽はドアの前まで迎えに来てくれて、俺の両手を握ってニコッと笑う。 「あき……」 「ん…?」 「俺のためにこんなこと決意してくれて…ありがとう」 「………うんっ」 「愛してる…」 チュッと音を立てて爽が俺の頬にキスをする。愛の言葉なんて無くたって、そのキスだけで爽の俺への気持ちが大量に雪崩れ込んでくる。 それでも、やっぱり……言葉にされるのは嬉しいな。 「ベッド……行こうか」 「………はいっ」 「ふふっ……おいでお姫様」 爽に手を引かれてベッドに連行される。 不思議だなぁ……… あだ名で"お姫様"とか言われてた時はめちゃくちゃ腹立ったのに…… 爽に言われると嬉しいなんて。 ベッドに腰掛けると、もうすでに爽によってもろもろ用意が済んでいた。ベッドの上に置かれたローションのボトルがなんだか妙に生々しくて恥ずかしい。 「あき……」 「……ん」 「キス…していい?」 「……いつもは聞かないくせに」 「あははっ…だよな?俺もかなり緊張してんのかな…」 「余裕そうに見えるよ?」 「狼狽えるとカッコわりーから頑張って虚勢張ってんの……」 「なにそれ?別にカッコ悪くなんて無いのに……爽は…今日も世界一カッコいいよ?」 「……知ってる」 そこは謙遜しないんだ…なんて考えていたら、勢いよく口を塞がれた。すぐにぬるっと熱い舌が俺の唇をこじ開けて侵入に成功する。このキスのこなれ感に、嫌でも爽の経験値の高さを感じて…ちょっとムカつく。 「んっ……、…ッ…んんっ…」 「……、はっ……っ…あきっ……」 「ンッ…っ……ぁっ……んっ…」 口内をいつもより丁寧に舐め回されて、ピチャピチャとえっちな音が部屋の中に響く。それだけで気持ちが高まっていくのがわかって、顔が熱くなる。 俺これから……爽に触られるんだ…! 「ンッ……、はっ…んっ…気持ちぃっ……」 「…まだキスしかしてないよあき…」 「爽の、ちゅー…だめ…」 「ダメ…?ダメなの?」 「気持ちくて…だめっ……」 「………やっば……何この生き物……かわいいが渋滞してんだけど」 爽は俺の首筋に手を這わせると、そのままグッと体重をかけて押し倒した。身体のラインをなぞる様に手が下に降りていくと、とうとうパジャマのズボンに指がかかる。 ハッとして爽の顔を見ると、大丈夫と一言呟いて…素早くズボンとパンツを同時に脱がされる。 俺はもう、恥ずかしすぎて…目をギュッと閉じるしかできない。 「ちょっと待って…!もう!?爽っ…早くない!!?」 「……だって、今日は最後までするわけじゃないから……中解すのに早く本気出したい」 「うーっ…!は、ずかしいっ……!!」 「……大丈夫………あきは全人類で一番綺麗だから…」 「……そんなわけっ…!」 「マジで、こんなとこまで真っ白でツルツルで先っぽピンクだし、身体もスベスベで柔らかいし全身いい匂いするし…死ぬほど綺麗だから安心し」 「もーーーいいっ!!!もういいから!!!オーバーキルやめてっ!!!」 「えーっ?……あきは謙虚だなぁ…」 爽は小さく笑いながら俺の下半身を見下ろす。いつもと少し違う、欲望に満ちた笑顔から興奮が読み取れて…なんだか余計に恥ずかしい。 閉じていた両足を両腕で優しくこじ開けられて、全てを晒されたかと思うと、すぐに膝から持ち上げられて後ろの窄まりまでまじまじと観察された。 「…………すっげぇ…」 「や、やだっ……ほんとに、恥ずかしいってば!!!」 「すーげぇ薄ピンク………あきお前さすがに綺麗すぎだろ………ほんとにここからうん」 「コラァッ!!!!下品っ!!!」 俺は爽の言葉を遮ってツッコミを入れる。 ムードぶち壊す気かこの男っ! 「ごめんごめんっ!マジでびっくりしちゃってさ…」 「うーーっ!!!もぉほんとやめてよ!!!俺今死にそうな羞恥に耐えてんだからね!!!?」 「……改めて…あきは神様の最高傑作説が俺の中で濃厚になった」 「うーわ………意味不明」 「あ……!!お前もしかして天使に産まれるはずだったんじゃね?」 「ねぇ爽っツッコミが追いつかないっ!!」 これから最強にえっちなことをするのに、爽との会話がアホな方向にばかり流れていって…なんだか緊張がどんどん解けていく。 ……あ、これ、もしかして……… 「……緊張、解けたろ?」 「……わ、わざとだったの…?」 「うん……よし、じゃあ…始めるな?」 爽は………… 俺の緊張解くのうますぎだってば………

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