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キスする前に出来ること【解決編】14
「お前…マジで我慢してたんだな…量やばくね…?」
「ほんっとにごめん!!!マジでごめん!!!!手、解いて!!!俺が拭くからっ!!!」
「え?いいよ別に…自分で…」
「いいから解いて!!!!!!」
「…はぁ、……しょうがねーなぁ……」
かなは精液塗れになりながら俺の手首を拘束していた紐を解いた。その瞬間ボックスティッシュを素早く掴み取りかなの顔を拭く。
もちろん、丁寧にね?万が一かなの綺麗なお肌に傷でもつけようもんなら…切腹もんでしょ?
「んー…、くすぐったいっ…」
「こら、動かないの!!あ、うわ…睫毛にもついてるじゃん!!これ洗わなきゃダメかも…!もうこのままお風呂行こ?早く洗っちゃった方が…」
「もーいいっての!!!!別に…いやじゃ…ねーし……」
「…え」
予想外の言葉に一旦手を止めると、ちょっぴり恥ずかしそうに下唇を噛んだかなが…ゆっくりこっちを見て笑った。
「顔射が好きとかじゃ、ねーけど…お前が俺で気持ちよくなってイったのは…素直に嬉しいから……別に、いいよ…」
「……」
「…あ…」
「……」
「やば、なんか……言ってて恥ずかしくなってきた…」
「……!」
「………ばか、見んなって…」
みるみるうちに真っ赤になったかなは、手入れの行き届いた細長い指で顔を覆った。
小さくなったその姿が、いつものかなからはかけ離れていて…なんだかもう、たまらなくなってしまった。俺はすかさず両手を広げて全力で愛しい恋人を抱きしめる。
「ウッ…!!?くるしっ…!!!」
「……」
「グッ…いってぇなぁ!!!おいコラ恭介ぇ!!!お前調子に乗ん…え…?」
「…うっ…ううっ…ふっ…ぐすっ…」
「は……?エエッ!!?何!!?お前泣いてんの!!!?なんで!!!?」
「だって、だって…」
「なんだよ!!?俺いじめすぎたか!!?」
「違うぅ~…!」
目からは決壊したかの如く液体が溢れ出し、同時に鼻の奥がツンと痛んだ。これでも必死に堪えようとしてる。堪えようとして尚、この状態なんだ。もうどうしようもない。
かなの細い身体を抱きしめながら柔らかい髪の毛に顔を埋める。俺の涙も鼻水も全部かなの髪にベットリとついてしまったけど…もういい。後で謝るから、許してくれ。
「なんか…ぐすっ…もう、胸がいっぱいで……」
「…は?」
「だって、かなかわいいし…格好エロいし…フェラ上手すぎるし…顔射されて喜ぶし…もう…いい…俺……」
「…?なにが?」
「もう…死んでも…いい……」
「…ブハッ!!!!」
かなは俺の腕の中で肩を震わせて笑い始める。
きっと結構な人が勘違いしてるけど…この人は、俺の前じゃ案外笑い上戸だ。それを…声を大にして自慢してやりたい。そんな気分。
「あははっ…お前馬鹿じゃねぇの!?そんなことで死んでもいいとか言うなっつの!」
「だってぇ…!!うっ…、俺っ…こんな嬉しいクリスマスプレゼント初めてで…今絶命してもマジで悔いないなって…グスッ…」
「ふふっ…!…ダメ……まだ死ぬなよ恭介…」
「…え」
さっきまでよりさらに色っぽい声になったかなは、俺の頭をがっしり掴むと、耳元で囁くように呟く。
「…だってお前……俺とまだえっちしてないじゃん」
「は……」
「俺、もう諦めんのやめた」
「なっ…!?」
「俺たちが先に進むために出来ることはなんでもして…いつかトラウマを100%克服出来たら…そしたら」
耳元から唇を離したかなは俺の顔を覗き込み、おでこを合わせる。
「俺のこと……抱いてくれる?」
ニコッと微笑んだかなの真っ白い歯が目に入った瞬間、それまで堪えていたものを全部解放して…
俺は泣いた。
「…恭介、コート着て」
「…はい…?」
初めてのかなとのどエロい接触を終えて、もろもろ後処理を済ませてリビングに帰ってきた。
こっからはワインを飲みながら、ソファでまったりイチャイチャクリスマスを堪能するんだろうなぁ………
なんていう俺の下心は、かなの一言で粉々に砕かれた。
「ケーキ食べに行くからタクシー呼んだ」
「え!?ケーキ!?」
「そう、楓さんにクリスマスケーキ食べに行くって約束してたから…今から行こうぜ!!いえーい!!待ってろブッシュ・ド・ノエルー!!!」
「ええっ!!!?なにそれ!!?…………あ、あれ………?待って…ってことは………俺は今から…」
「…ああ!みんなに会えるなぁ…お前が言うところの…アベンジャーズに」
「そんなぁあああああああーーーー!!!!!!!」
俺の叫び声に、かなは両耳を手で塞いで小さく笑う。
「ふふっ…!うるっせぇなぁ…ホラ、行くぞ」
「ちょ、ちょっと待って!!?俺そんな悪の総本山みたいなとこに行って大丈夫!!!?殺されない!!?」
「だーいじょうぶ!ちゃんと俺が経緯説明するから!!」
「説明したって俺殴られるんじゃね!!!?ほら、暁人の弟の件もあるし!!!」
「あー……あれは擁護できねぇな諦めろ」
「エーーーーーー!?守ってくんないの!!!?俺かなのダーリンだよ!!?守ってよ!!!!!?」
「ったく…大丈夫だって!…みんな昨日からめちゃくちゃ忙しかったろうからもうクタクタだろうし…お前のことイジる余裕ないんじゃね?」
「な、なんだ…そっか…そうだよね…!」
「まぁ…あくまで希望的観測な?」
「……」
「あ、でも…」
「…なに?」
「今爽も店に来てるって……ほら、暁人からメッセージきてた」
「ねぇ!!!!俺爽に怒られんのほんとやだっ!!!!アイツ怒るとマジで怖いんだよ!!!?」
「…爽って旭に馬鹿高い時計買うくらい可愛がってるらしいぞ」
「追い討ちかけるなぁあああああーーー!!!」
かなは俺の叫び声なんて完全に無視してドアを開く。振り返った瞬間、かなのシルクみたいな綺麗な髪が靡いて……なんだか全てがどうでも良くなる。これは……いつシャンプーのCMのオファーが来てもおかしくないぞ。うん。
「おーい恭介……行くの?行かねーの?」
「………………い、…………行く」
「……ぶはっ…!だよな?」
「俺がかなの誘いを……断るわけないでしょっ!!!!」
「偉いっ!!それでこそ俺のダーリン!!!!」
「もーどうにでもなれーっ!!!!!」
…To be continued.
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