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帰還 (馨視点)
喚ばれた気がした
だから、卒業旅行の誘いも断って帰って来た
秋頃
婚約者が死んだという知らせもあったが、帰らなかった
単位を落として環に逢う時期が先延ばしになるのが嫌だった
久しぶりの故郷
「あ、橋。新しくなってる」
懐かしくて逢いたくて
赤い布を巻き付けようとした
「?」
向かいから凄まじい妖気が迫ってくる
環......じゃない
女だ
妖 しい程に容姿の整った女
黒目黒髪に紅い唇
環に少し似ている
シャラン
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