38 / 62
時間(馨視点)
『馨!』
汗だくになりながら、駆けてくるのは
あの頃より大人になった君
線の細さは、変わらないけど
一段と綺麗になった
両腕を広げると、当然のように飛び込んでくる
見上げる顔には、汗で髪が纏わりついている
髪の黒さがより、肌の白さを強調している
幻か現実か、確かめるように頬を撫でる
「環......だ」
「馨......。逢いたかった......こっち」
手を引かれるまま
素直についていった
自分にも......環にも
時間がないのは、わかってる
ともだちにシェアしよう!