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素敵なこと

机に突っ伏している人がいる 「どうした、んですか?」 「ん?環?」 立ち上がって振り返ったのは、成長した馨 チュウガクセイくらいかな? 目線が同じだ......なんか不思議 困ってる馨なんて見るの初めて見たかも 「足りないんだ、いくら本を読んだって。いくら、勉強したって」 「......『実際、体験してみないとわからないこともある』?」 一瞬、目を見張って優しく笑いながら頭を撫でてくれる 「うん、そういうこと。でも、そうすると......大学は遠くへ行かなきゃ」 腕を組んで少し困った顔をして考え込む 「広い世界を知るって素敵なことだよね。後で、たくさん僕にも教えてね」 笑顔でそう言うと馨は、少しホッとしたようだった 「あ、うん。ありがとう、環。また、一生懸命勉強する」 「応援してる」 いつまでも、ね

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