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幸せ

また、桜の咲く季節がやって来た 僕は、妖力を使う場面もなく今まで通り桜に流すようにして力を維持している 隣には、黒装束を着た旦那様(かおる)と腕の中には紅い晴れ着を着た娘の桜 そして、僕の中には新しい生命(いのち) 「あれから、1年か......」 「ん、早いよね。ここで馨と結ばれて、桜を授かって......」 1度“(わかれ)”を味わった 「馨、ココ触ってみて?」 彼の空いている方の手を自分の下腹部に当てる 「環......」 馨が一瞬苦しそうな顔をする きっと、あの時のことを思い出したんだ 表面的な傷は、消え失せても心の中はそうはいかない もう、無いと分かっていても 「大丈夫だよ。きっと......」 貴方と2人なら、死だって乗り越えてみせるから にっこり笑ってみせる 僕の幸せのハジマリ 貴方に初めて会った時、強い衝撃を受けたんだ そう、心臓をヒトツキにされたみたいに 幸せなんだ あの時から今も、これからもずっと

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