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第7話

「握手って……てっきりもっとえげつないことかと思ったわ」 「えげつないって?」  三浦の軽口に、六川が返す。 「例えば、誰々に10万払うとか、暴露話とか?」  確かに三浦の言うように、他の双六でも恥ずかしい暴露話をしなければならないとかはあるように思えた。  だが、プレートに書いてあったことが本当だとすると、暴露話をしなかった場合は最悪、死ぬことになるかも知れないのだ。 「へぇ、そういうのもあるんだね。あ、次は僕か」  六川は九岡の投げたダイスを拾い上げると、先程、九岡が投げたのと同じように投げる。賽の目は2。 「2か……置いていかれなきゃ良いけど。えーと、『黄色のコマを持つ者にだけ今、思いを寄せる者の名前を告げよ』……」  大っぴらにしないまでも、三浦に今、六川が好きだと思う人を言わないといけないらしい。 「何か、いきなり暴露話がきたね」  六川は照れると、三浦が「話してみよ」と戯ける。  三浦は五島に辛辣な物言いや茶化したよう素振りをすることもあるが、六川や九岡にはそんなことはしない。それに、元来、五島以外には言動とともに思いやりがあり、さっぱりとした性格をした男だった。 「僕が好きなのは……う……ん」  五島と九岡には聞こえないように、三浦の傍まで行き、耳元で話す。  すると、少し驚いたような表情になるが、六川に礼を言った。 「教えてくれてありがとう。いつか良い関係になると良いな」 「こちらこそありがとう。君も好きな人がいれば良い関係になりますように」  六川と三浦もコマの指示に従うと、五島、三浦と六面のダイスを振り、また九岡、六川……と振り続けていく。

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