「もしかしたら、次で決まるかもね……」 　１番目にダイスを振り出した九岡はあと６マスで、２番目に振り出した六川はあと１マス。そして、３番目に振り出した五島はあと３マスで、４番目に振り出した三浦はあと５マス。 　もしかしたら、あと一振りでゴールできるかも知れないという状況と次にダイスを振るのは自分であることから五島には余裕があった。 「３マスピッタリで１位だ！」 　双六のルールでは上がりのマスにピッタリ止まらなければ、超過分だけ戻るか、超過した部分があっても、そのまま上がれるかの２種類あるが、五島も三浦も超過分だけ戻る派だ。 　しかも、この双六の作り手の意地が悪ければ、高確率で最後になればなるほど、◯回休みやら振り出しに戻るマスの可能性は高くなる。 「くっ、くっ、くっ。お前は１マスで、俺は５マスを出して、俺が１位でエンド。今年も１位は貰ったな」 　三浦の言うような状況もありえない訳ではない。 　だが、２人とも１や２が出たり、出目が超過したら、九岡や六川にも１位上がりの可能性がある。 「ふん、何とでも言え。３、３、３……」 　五島はダイスを転がすと、ダイスは勢いがつき過ぎて、何回転もする。回転し、回転した結果、 「あぁ……」 　透明な氷のようなダイスは目がなんと三浦が予言した通り、１つしかなく、五島は落胆したように声を出した。 　超過した訳ではないが、これで三浦の言う通り、次に三浦が５が出してしまえば、負けてしまう。 「残念だったなぁ、五島くん？　さぁ、さっさと指示に従って、俺の番だ」 　挑発たっぷりの言葉に、五島は頭に血が上ったようになる。だが、三浦が次に５を出せるかは６分の１だ。 　五島は一度、冷静になると、コマの指示を見ることにした。心配そうに見る九岡や六川の視線にも気づかない。そればかりか、さっきまで煽っていた三浦の表情にも気づかず…… 「えっ……」 そこには五島の予想を上回ることが書かれていた。 「『黄色のコマを持つ者の手で……絶頂せよ』」