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* * * * * 『・・・守りきれなかった?』 『・・・うん。  うちの親、半狂乱に なっちゃってさ。  もう、手がつけられないくらい。  俺の事もね・・・・  全く受け入れては もらえなくて。  認めたくなかったんだろうね。  自分の息子が、こんなんだなんて。  だから、怒りも、悲しみも、蔑みも・・・  全部、彼女に向けられて、  もう・・・見ていられなくて  結局、別れるしかなかった。』 『・・・・・そう・・・なんですか・・・』 『俺もね、  彼女を愛しく思ってはいたけど・・・  愛してはあげられなかったから。  だから俺と別れて、ちゃんと  愛してくれる人と結婚した方が  幸せだって思ったんだ。』 『・・・・・。』 『全部、俺のエゴだったけど  俺も両親も責めずに、彼女は受け入れてくれた。  ・・・・・でね?別れる日に、最後に彼女に  言われた言葉があって・・・。  それが、指輪してた理由・・・・・なんだ。』 そう言って、先生が指輪に視線を向ける。 また、優しく 指で撫でて 寂しそうに、笑った。 『・・・・・・・。』 俺は、何も言えなくて。 次の先生の言葉を待つ。 『彼女は・・・・俺に・・・・・  今度こそ本当に好きな人と出会えるまで  この指輪は外さないで、って。  本当に好きな人と 一緒になって  幸せだって心から思える日が来るまで  私を忘れないで、って。』 『・・・・・・・。』 『彼女は・・・・・本当に・・・こんな俺を  心から心配して 愛してくれてた。  最後の最後で それを思い知った。  だから・・・彼女の最後の願いだから・・・・・  ずっと外せなかった・・・。』 震える声で そう言って、 先生は・・・俯いて 膝の上で 両手をギュッと握りしめた。 動けずにいると・・・ 先生の手に 涙が ぽつりと落ちた。

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