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やっぱり僕は…②

「う、うん、いいよ!滝沢くんが呼びやすい呼び方で」 「ありがとう!じゃあ、俺の事も"煌太"て呼んでくれていいから」 柔らかく微笑んでそう言った彼に、つい調子に乗ってしまった。 「こっ、煌太」 「おう、よろしく淳!」 出会って二日目で、名前で呼びあう関係になれてしまった。それからも度々、煌太に声をかけられた。『本好き』という共通点が、僕達にあったからだ。それから二年になった現在まで、煌太とはまあまあ仲がいい友達になっている。 煌太をきっかけにクラス中からの"淳"呼びが、あっという間に定着した。 クラスの真ん中で目立つグループにいる訳じゃないけど、落ち着いていて誰にも優しい煌太は、みんなに一目をおかれる存在になった。 僕は戸惑っていた。本の好きなジャンルはミステリーとか、ゴールシーンに憧れて小二でサッカーを始めたけど、現在のポジションはゴールキーパーだとか、兄弟は弟と妹だとか。知れば知るほど、煌太に牽かれる。煌太の事をもっと知りたい、もっと近付きたい。煌太は今、何を考えてる?煌太のあの広い背中、直接肌に触れたらどんな感触なんだろう… この感情は何だ?気付いているけど、認めてはいけない気がしていた―― ――ハンバーガーショップの二人用のテーブル席に、冷たいドリンクを持って座る。煌太はコーラ、僕はアイスコーヒー。「コーヒー選ぶなんて、大人だ」という煌太。実は炭酸のシュワシュワが苦手で飲めないと告白すると「大人か子供かわからない」と笑われた。 「煌太は自分が正しいと思った事は、躊躇なくできるだろ。そういうとこ、すごいと思う。尊敬する」 笑みを浮かべたままの煌太に言う。そう、『尊敬』してる。でも、本当はもっと…コーヒーを手に取り、そのまま俯く。 「淳は周りを、みんなをよく見てる。どうするのが一番いいのか、いつも考えてる。淳のそういう所、俺は好きだ」 「うん……えっ、すっ!?」 思わず顔を上げると、目を細めて優しく笑った煌太。頬が熱くなる。 「俺は考える前に、身体が動いちゃうから。部活でも、いつも注意されるんだ。淳にそう言ってもらえると、自信になる」 「煌太…」 LOVEじゃなくてLIKEだからとか、『人間(ひと)』として好きなんだとか。自分の湧きあがる感情に、いろいろ言い訳していたけど。 キミはあっさりと、何の躊躇もなく口にするんだな。 煌太を真っ直ぐに見つめ返し、今の僕の精一杯の笑みを浮かべた。 どんな形でも、どうとられようと、ぼくもいつか伝えたい。 キミが、好き…―――― END

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