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第19話

「えー、ダメ間違って薬入ったらマズいから」 首を振って言うアキラ。 「じゃ、刺す真似で勘弁してくれ…できることならアキラを刺したくない」 真剣に訴えるみずき。 むやみにアキラを傷つけたくない。 「意気地なし…」 ちらっと瞳を覗き込んで言ってみる。 「…っ、すまない」 アキラの言葉に少し落ち込んで謝るみずき。 「ばーか、真面目にあやまんな、人に注射すんのは結構こわいモンだしな、じゃささなくていいから超スピードでセッティングしてみて、発作起きたら早く打ってほしいから」 ちょっとからかっただけ、と微笑みみずきの頭を撫でるように触れる。 「あぁ、分かった」 アキラの言葉に安心して頷く。 「はい、じゃ用意、スタート!」 「……えぇと、これをつけて、空打ち…で、メモリ10…フタをとって…これで消毒して刺す…だな、」 真剣に取り組むみずき。 アキラは優しく見守る。 なんとか出来てアキラと瞳を合わせて確認する。 「そ、合格。まっすぐ、血管避けて注射な。発作起きたら頼むな」 自分でふともものこの辺りに刺して、と身振りで教えながら…微笑むアキラ。 「あぁ…アキラが楽になるなら…しかし、注射はどのくらい痛いんだ?」 「全然、痛くないから平気。まぁ血管に刺したらちょっと痛くて血もでるけど…針が細いからすぐ止まるし、大事にはならない…なにより発作の方がツラいから、迷わず注射してな」 「あぁ、わかった」 二回ほど頷き、答えるみずき。 「…オレと付き合ってたら普通しなくていいこと…したくないことまでしなきゃならないよな」 「アキラ?」 「きっとみずきは嫌になるよ…」 いつかは…そうなる。 オレの病気は複雑だから、脳に影響でる薬も増えてくるだろうし… 自分を保っていられるのか…分からないから… 「そんなことは…」 すぐ否定するみずきだが…

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