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第22話

そして、一時間はあっという間に過ぎて… 「じゃオレ帰るから、頑張ってな」 アキラは業務を終えて満足し、みずきに声をかける。 みずきは早朝4時まで勤務だ… 「ありがとう、気をつけて…」 コンビニ店員のみずきに見送られ家路につくアキラ。 家はすぐそこ、とくに何事もなく帰りつく… はずだったが… マンション前に帽子を深く被った一人の男が突っ立っていた。 アキラは無視して少し離れた場所を横切るが… 「……楠木…晃…」 ボソッと呟く男… 「えっ」 名前を呼ばれ、反応して振り返ると… 「っ!?」 なんと、その男がすぐ近くに寄って来ていた。 ゾクッとして後ずさるアキラの右手を…ぎゅっと握ってくる男… 「うっ…げっ!」 右手にネトッとした感触… 何かを擦り付けられた。 男はアキラが驚く顔をみるとニヤっと笑って…あっという間に走り去ってしまった。 悪寒が走るアキラ… 「うわー、最悪ッ!」 アキラはその場で固まる。 右手になすりつけられたブツは… どうみても精液… アイツのか!? 勘弁してくれ…! ぞわぞわっと身体が震える気分を味わうアキラ。 「風呂っ風呂はいろっ!」 取り敢えずティシュで拭きながら、部屋に帰る。 帰ると、二匹の犬たちが迎えてくれるが… アキラはただいまっと声だけかけて洗面所へ… 「うー気持ち悪りぃ…」 キレイに手を洗い…風呂を沸かす。 ストーカーされた経験はあるが…こんなタチの悪い嫌がらせをされたのは初めてなアキラ。 「アイツは…」 その変態野郎の顔を見たことがあった。 毎日のようにコンビニに来ては…自分のレジに並ぶ…しかし話し掛けてきたりはしない為、あまり印象強くはなかったが… 今日も確か来ていた筈… だから帰りに待ち伏せしていたのか?

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