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プロローグ

桜咲き誇る四月、僕はこの朔嵐高校に入学した。 やはり男子校、周りはむさい野郎どもばっかりだ。 僕は颯爽と校門をくぐり、一直線に校舎へと進んでいく。 なんだか無数の視線を向けられ、ヒソヒソと話し声が聞こえてくるが、今に始まったことでもないので、いちいち気にしない。 一階の一年生フロアに向かい、僕が入るBクラスを見つけ教室の扉を開けた。 その瞬間、僕の目は窓側に立ち、外を眺めていた一人の男に釘付けになってしまった。 周りの生徒より頭一つ分くらい高いほどの、スラリとした長身のスタイルに、太陽に照らされたオレンジを思わせる様な張りがある褐色の肌。少し窪みがちな円らな瞳。 太めで短く、眉尻が下がり気味の眉毛。よく目立つ大きめの耳。そして、黒というより焦げ茶に近い、ふわふわと柔らかそうな髪。 あぁ、なんてパーフェクトな容姿! 子供の頃大好きでよく見ていた、母親の国の子供の向け番組に出てくる、あのマスコットを彷彿とさせるファニーフェイス。そして、コメディからシリアスまで熟す、大ファンのあのクールな俳優の生き写しの様なスタイル。 話しかけたい、話しかけなきゃ! そして友達に、出来ることなら彼氏になって欲しい! 高まる衝動を抑えることなく、真っ直ぐその男の元へと進んで行った。 もう、彼の目の前まで来てしまった。 なんて声をかけよう⁈ 彼が僕に気付き、顔を向けた。あぁもう、近くで見ると余計素敵! なんか喋らなきゃ 咄嗟に僕の口から出た言葉は 「おまえ、なんでアフロなの?」 ーーあの出会いから三ヶ月、あの時僕の心を掻っ攫った男は、今僕の親友となっている。 名前は若林 広志。 広志はその名の通り、広い心の持ち主で、初っ端から思いっきり不遜な態度を取ってしまった僕を「面白いやつ」と笑って対応してくれて、仲良くなることができた。 僕の悪い癖だ。 僕はロシアのハーフだ。そんな母親譲りの真っ白い肌に、銀に近い程色素の薄い金髪。 小学校の頃はこの見た目でいじめられたりした。だが、負けず嫌いの性格なので、いじめに屈したくない一心で、いじめてくる奴には高圧的な態度で接するようにしていた。 そのうち、そんな態度を取るの癖になってしまい、誰にも素直に接することが出来なくなってしまった。 だから、小学校・中学校とも、ろくに友達ができなかった。 でも、広志は笑ってくれた、仲良くしてくれた。 もぉー! やっぱり僕の目に狂いはなかった! あの愛くるしいマスコットに似た雰囲気に相応しい素晴らしい男だ! 今は親友だけど、必ず僕の彼氏にしてやる! それで、他の事なんか入り込む隙なんか無いくらい、頭の中を僕への愛でいっぱいで、夢中にさせてやる。 ーーここから僕の、彼を彼氏にするための学校生活が始まった。

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