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第五章・6

「未悠。おい、未悠?」  オーガズムに達した後、未悠はくたんと力を抜いた。  そのまま、ぐったりと動かなくなった。 「まさか、気を失って……?」  ひとまず健は未悠から離れると、その顔色をうかがった。  白目になったり口から泡を吹いたりしていないところをみると、体の異常ではない。  そっと額を撫でてやると、すぐにその円らな瞳は薄く開いた。 「うぅ……」 「あ、気が付いた。大丈夫か?」 「ふぅ……、う。うぅ、う……」  どこか夢見心地の、未悠の視線。  その焦点が合った時、健は頭を下げていた。 「ごめん。ちょっと、激しすぎた? まさか失神しちゃうなんて」 「僕こそ、ごめんなさい」  でも。  もう一度、聞きたい言葉がある。 「健さん。さっき僕のこと、好きだよ、って言ってくれましたよね」 「え? あ、うん。つい、言ってしまった」  健は再び、頭を下げていた。 「ごめん。不用意だったな」 「そんな。何度でも、聞きたいです!」 「いや、ダメだ。私は、未悠を好きになったりしては、いけないんだよ」 「それは、解ってます」  未悠の目から、涙が一筋流れた。

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