51 / 101

第七章・7

「お、おい。未悠、ちょ、ここで?」  夢中でキスを求める未悠。  唇をぺろぺろ舐められながら、健は覚えのある物質を感じ取った。  フェロモン。 「オメガの、フェロモンだ」 「え?」 「未悠、ちょっとストップ。君は今、発情してるんだよ」 「え……?」  どこか焦点のあっていない未悠の目は、そんな言葉よりただ健を求めている。  鼻を擦り付け、顎を押し付け、舌で顔じゅうを舐め回してくる。  そんな未悠を小脇に抱えるようにして、健は急いで屋内に駆け込んだ。  寝室に入り、スキンを準備し、ベッドの上の未悠を見ると。 「あ、はぁ、あぁ……。う、ぅん。んん……」  すでに服をはだけて、自分の指をしゃぶっている。 「何てエロい事してるんだ」 「ね、健さん。僕を抱いて。早くぅ……」 「解った。解ったから」  素直で優しく、聡明な未悠。  その彼が、ただ一心に性を求めている。 「ギャップ萌え、するなぁ」  伸し掛かる健が、その瞳に映っていた。  潤んで揺れる目に、溶けていた。

ともだちにシェアしよう!