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第七章・7
「お、おい。未悠、ちょ、ここで?」
夢中でキスを求める未悠。
唇をぺろぺろ舐められながら、健は覚えのある物質を感じ取った。
フェロモン。
「オメガの、フェロモンだ」
「え?」
「未悠、ちょっとストップ。君は今、発情してるんだよ」
「え……?」
どこか焦点のあっていない未悠の目は、そんな言葉よりただ健を求めている。
鼻を擦り付け、顎を押し付け、舌で顔じゅうを舐め回してくる。
そんな未悠を小脇に抱えるようにして、健は急いで屋内に駆け込んだ。
寝室に入り、スキンを準備し、ベッドの上の未悠を見ると。
「あ、はぁ、あぁ……。う、ぅん。んん……」
すでに服をはだけて、自分の指をしゃぶっている。
「何てエロい事してるんだ」
「ね、健さん。僕を抱いて。早くぅ……」
「解った。解ったから」
素直で優しく、聡明な未悠。
その彼が、ただ一心に性を求めている。
「ギャップ萌え、するなぁ」
伸し掛かる健が、その瞳に映っていた。
潤んで揺れる目に、溶けていた。
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