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第2話

 元モデルの母親に似て容姿は中の上、背が高いのは父親譲りで成人男性の平均より高い。社会人になってからは昔ほどではないが、小さい時から人並み以上にモテた俺は告白には慣れている。  自分から好きになるより、告白されなんとなく付き合って別れるを繰り返してきたから、恋愛経験はそこそこ多い。  けど、さすがに男からの告白は初めてだ。 「と、突然すみません。俺、明日には転勤で今夜しかチャンスがなくて」  今夜しかチャンスがないと言われたけど、もしも俺が駅に現れなかったらどうするつもりだったのか。けれど、その心配はあっさりと覆された。 「いつからここに……」  濃紺のビジネススーツに身を包み、暗がりの中でも映える爽やかな笑顔の彼は、当たり前のようにその答えを口にする。 「今日は四時間くらいです!」 「え、よじ……ちょっとストップ、今日はって」  四時間も待ち伏せされたことも相当だが、それが毎日の日課だと思わせるような、軽い口ぶりに唖然とした。 「昨日は二時間、一昨日は三時間半……その前は……」 (いや、ちょっと待て。笑顔のままで必死に話す内容ではないだろ)  それでも目の前の青年は、細かく待ち時間を説明してくる。しかも、とても楽しそうに。  生き生きと話す姿に軽く恐怖を覚えた俺は、すかさず話を遮り、頭の片隅に浮かんだ疑問を口にした。 「もういいです! 単刀直入に聞きますけど、あなたストーカーですか?」  すると俺のド直球の疑問を遮るようにキッパリと否定された。 「違います! 俺はあなたに一目惚れしたんです。だから、毎日あなたに会いたくて。でも、突然好きだなんて言ったら困ると思って、見つめるだけの日々をズルズルと……」 (いや、十分に困ってるけど。それに、好きだってさっき言われたし)  幸い、今まで付き合った女の子から付きまとわれたり、待ち伏せされたことはない。だから定義はよく分からないけど。 「それ、世間一般的にはやっぱり……」 「駅以外では付きまとったりしてません、ただ見つめてるだけです。だから違います!」  自覚がないのがこんなにも恐怖を煽るなんて、彼は微塵も気付いてないんだろうな。 「んーまぁ、百歩譲って違うとして、俺はどうしたらいいの?」 「付き合いたいわけじゃないんです。思い出に、一つだけお願いを聞いて欲しいんです」

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