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番外編 夏祭りの約束 9-2

「子どもたちに沢山吸われたから、ぷっくり大きくなって、すぐ赤く色づいて立ち上がるから、可愛い」 「……やめっ」 オメガ男性は授乳できる人、まるっきりできない人が女性よりもさらにハッキリと分かれているといわれている。柚希は咲哉の時にはおやつ程度だったが、第二子の蜜希の時にはとてもよく出るようになった。どうせ出るならと与えていたものの、蜜希がかなりのおっぱい好きで、かなりしつこく吸われ続けた。そのせいで乳首の形が以前よりかなり大きく色も濃くなってしまったのだ。仕方ないこととはいえ、これは柚希にとってはかなりのコンプレックスだった。 しかし嬉々としてつまんでぐりぐりと甘い疼きを与えてくる和哉はなんだかご機嫌なのが癪に障る。 「やあやあいってるけど、気持ちいいよね? 柚希の身体は素直だから、下ももっとおっきくなってるよ? 今日は子供たちがいないんだから、声を押し殺さなくていいんだよ? 久しぶりに、乱れる柚希が見たいな」  和哉の方はもはや色欲を隠そうともしない。 「だらしない声出して……。和哉、もう! やめ。シャワー浴びたら、さっさと出よ?」    まだどこか欲に溺れきれていない柚希はいやいやをして和哉ではなく風呂の壁の方に片手をついて縋り逃げてしまう。  前回の発情期以降こんな風に触れ合ったのは久しぶりだ。柚希としてはわざわざ禁欲しているわけではなかったが、子育てと仕事の疲れと忙しさでここ一一、二か月、したいという欲が浮かぶまでもなかった。  だが柚希より年下の夫はチャンスがあればといった感じで、柚希に子どもたちが祖父母の家に泊りに行ったタイミングなどこんな風に自分にだけ集中して気が向くときに柚希に甘えて仕掛けてくる。そんな時は義弟だったころを思い出して可愛くも思ってしまうが、それでは流石に禁断の関係の様で複雑な気持ち過ぎて困ってしまう。  そんな柚希の気持ちを知ってか知らずか、和哉は柚希を腕の中から逃すつもりはない様だ。 「逃げないで、柚希。可愛いよ?」 「可愛いとか、恥ずかしい!」 「だって、そんな恥ずかしがって。可愛いから仕方ないだろ? どうにかしてやりたくなるよ」  腕を引き若々しい仕草で強引に唇を合わせようとしてくるから胸がきゅんっとしてしまうのは求められる喜びを知ってしまっているからだが自動で反応してしまうのだ。仕方ないことだろう。それに和哉はこんな甘い甘い台詞を本気で言っているのだから質が悪い。それでも結婚してずっと経つのに、和哉が今でも自分でこんな風になってしまうのは正直嬉しく愛おしい気持ちが胸に熱く溢れてくる。 (でもここでこのままされたら、俺、疲れてるから、絶対そのままおちる)  頭のどこかではそんな風に考えてしまうのはやはり大人になったということだろう。若い頃なら柚希だって挑まれた勝負は買う元気も体力もあったが、今はやはり三つ年下の和哉に敵うと思えない。久しぶりの情事、一度始めたらきっと和哉は夜中まで離してはくれないだろう。そんな時だけ弟感丸出しに柚希に我儘にふるまってくるのだから。  せっかく可愛いが騒がしい子どもたちがいないのだから、ゆっくり二人きりの時間を楽しんだり、見たかった映画もある、やり残した家事を片付けたり、明日も朝からしっかり起きて洗濯や買い物も行きたい。  普段は子どもたちとキャッキャわいわい言いながら入っている風呂。視界に入る壁に取り付けられたネットには風呂用の玩具が入れられ、アヒルのおもちゃと目が合う。すると子どもたちを思い出してまた恥ずかしさが込み上げた。 (いい大人が風呂場で盛って、恥ずかしい)  柚希はしつこいほど舐られる接吻から逃れ、さらに逃げを打ち腰をよじって後ろを振り返ったが、逆に和哉に腰の辺りを抱え上げ、逃げられなくなってしまった。そのうえ腰に押し付けられた和哉のものの形の変化は明らかだ。 「ひうっ」 「ああ……。柚希、すごくいい匂い。ねえ、ここでこのまましたい、駄目?」 「だ、めぇ」 (今日の和哉、蜜希ぐらい、甘えたで、ワガママっ!)  帰り道は爽やかなポロシャツ姿のすまし顔で柚希をあんな風に労わってきたくせに、今では自分が一番柚希を困らせてくる。  和哉の唇や鼻先が首筋の辺りにまさぐるように当たり、腰の辺りには彼の長大なものが重たく押し当てられ、蕾を今にもこじ開けられそうだ。その上、あの金木犀のように芳醇で夏場には重ために感じるフェロモンが漂ってきて、足がわなわなと震え力が入らなくなったところを、腰をグイって持ち上げられ僅かに足を開かされる。 「じゃあ、柚希がいいって言うまで、こっちで慰めて?」 太ももの間を割り行って和哉の屹立が柚希の玉や竿を擦りあげられゆるゆる動きだしたから堪らない。 「ああっ!! あっ、はあっ!」 (擦れる、ああっ! 気持ちいいっ)  先ほど高められた癖に途中で握りこまれて放てずにいた前がびゅくっと濃い精を放って身体がびくびくと震えているのになおも摺り上げられ続け、逃げようと壁についた手がずるずると滑り落ち頭がお辞儀する様に垂れていったが和哉がさらに腰を進めて覆いかぶさってくる。 「だ、だしたばっかだから、やめて!! つらいぃ」  かりっと耳を齧られ、和哉が熱い吐息を荒々しく吹き込む。 「柚希。腰動いちゃってるよ? 後ろが疼いてる? 今ここで、僕を受け入れて? 欲しいっていって? そしたら一晩中、なんどだって、何日だって。柚希の事、ずーっと、愛してあげられる。ね? お願い」  柚希も情けなくも腰がへこへこと自然に動いてしまうことがやめられず、顔を真っ赤にして嗚咽に似た声を上げた。  ばちん、ばちゅんと肉が当たり弾ける音が風呂場に反響し、再び柚希が嬌声を上げて、前を放って脱力した時を見計らって、腰を下から掬い上げ抱え、柚希の蜜壺にゆっくりと長い指を埋めていった。  抵抗する力が弱まった柚希の肉襞はそこだけ別の生き物のようにきゅんっと和哉の指に絡みついて締め上げる。柚希が善がり最後の理性を手放す僅かなふくらみを優しくも強くこすり続けたら、柚希は過ぎる悦楽にひっきりなしに甘い声を上げ、すすり泣きながら覆いかぶさったままの和哉の腕に爪を立て縋ってきた。 「ほら、もっと奥、愛してあげるよ?」  和哉はどうしても柚希の言質を取るつもりで猛攻を仕掛けてくる。ダメ押しで今度は性感帯である項に舌を這わされ、和哉の硬くとがった犬歯が彼のものである所有印をなぞり柚希を甘く苛んでいく。  その場所を噛まれたらもう、スイッチが入ってしまった。  迸るフェロモンが湯気と共に広がり、すでに顔も身体も桃色に染まった柚希が息も絶え絶えに、しかし頑固さを発揮して力を振り絞るように和哉を振り返った。 「ここじゃ、やだ!」

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