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第7話 憂鬱な日々 2/7

男物なんて一切含まれない。 誰の見立てかは分からないが、白っぽいものが多く、どれもがヒラヒラしている。 今日は白いワンピースに生成りのニットカーデガンを合わせた。背中までの長い髪を下ろすと清楚なお嬢様の出来上がりだ。 毎朝、恵美子さんは「よくお似合いです」と褒め称えた。 ありがとうと笑顔で返すが内心では引きつっていた。 「今日は午後から旦那様がお帰りになられます」 朝食を食べていると恵美子はそう言って笑った。 「お仕事ですか?」 「いいえ。最近お会いになってらっしゃらないのでティータイムを一緒にと仰せでした」 「……そうですか」 最近も何も初めて会った日から全く顔を合わせていないのだ。それも1時間足らずだった。 ティータイムにと言われても何を話していいのかわからない。父さんはどうしているのか分からないし、それを聞いていいのかも分からない。 毎朝届けられる伊地知さんからの書類には株価や新企画についての企画書もあるが、僕には全く理解できない。 伊地知さんは度々やってきて僕にお辞儀の仕方や姿勢、歩き方、言葉遣いなどを指導する。専属のトレーナーを後日雇うらしいけど、忙しいらしくその目処は立っていない。 午前中は恵美子さんに習って生け花。用意された服の中には着物もあったけれど、着付けの仕方が分からず、恵美子さんも無理強いしなかったので着なかった。 「まあ、初めてですから」 そう言われると救われはするが、同じ材料を使ったとは思えないほどの出来栄えの差に俯くしかなかった。

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