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第1話

まだスマホがない時代。俺は恋をしたんだ。最初で最後の恋を… 凄く…懐かしいな… 片付けの時に出てきたガラケーを見つけ中身を見てみたらあの頃の思いが走馬灯のように蘇った。 すごく…苦しかったけど…すごく…楽しかったな… 「ひまー」 大体それからやり取りが始まる。 彼との出会いはあの頃流行ってた出会い系。いくつも有る中の1つで相性がいい人をお薦めしてくれるサイトだった。相性がいいのならと試しに送ってみることにした 「初めまして。メールしませんか?」 俺は惹きつける文章は書けない。これが精一杯だ。 それから暫くしてメールの通知音が聞こえた。そこには 「ひまー!」 「…え?」 思ってもいなかった内容に一瞬固まった。これまでは返事をしたらここぞとばかりに口説き始める人としか出会った事が無かったからだ。 けど折角返事をくれたのだからと返信することにした 「暇なんですね。同じですね」 「何歳?」 「21です」 「俺は20。貴方がお兄さんだねぇ」 こんな感じの短文で緩い感じのやり取りが続いた。よくよく考えれば長文だったなら俺は悩んで返事が出来なかっただろう。短文だからこそやり取りを続けられたのだろう。気付けば長い時間が過ぎていた。 サブアドレスでやり取りしていたら面倒になったのか直メをお願いされた。 普段なら様子を見てよく考えて返事をするのだけど長い時間やり取りしてたから俺も面倒になってた。ありがたい申し出だけれどやっぱり悩んでしまい直ぐに返信出来ないでいたら続けて連絡が来た 「いきなり言われても困るよね。俺のアドレス送るから気が向いたらこっちに頂戴。このままでも問題は無いからね」 彼にしては長めの文だった。 結局すぐにそっちにメールすることにした これまでの俺なら考えられない行動だった。 出会い系サイトは所詮ヤリ目の人間ばかりしかいないと俺は考えてた。友人に言わせればそんなことは無いと言うけど俺の運が悪かったのだろう。 俺が少し捻くれて考えるようになったのは俺の初めての相手がサイトの人だったからかもしれない。 サイトで出会い好きでも無いのにその場の雰囲気に流されてやりとりを始めた数時間後に関係を持ったのだ。その一回きりでその後は連絡は来なくなった。その後出会った相手も全員がそんな感じだった。

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