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第2話
俺はそれまで人を好きになった事はなかった。
物心ついたときから自分が同性しか好きになれないかもしれないと気付いてはいたのだが皆の言う恋愛の好きがわからなかった。
もし仮に好きな人という存在がいたとしても誰にも相談出来なかっただろう
きっと俺は一生初恋のいい思い出なんてわからないままに一生一人でいて欲求不満は出会い系やそういう店で解消するんだろうなって思っていた。
「直メくれるなんて思わなかった。ありがとう」
そういう一言もなんだか擽ったかった
「俺も面倒になってたから。返事遅くなってごめんね」
そこからまた他愛ないやり取りが始まる
「そういえばアドレス。番号だったけど俺に教えてよかったの?」
あの頃は携帯番号をそのままアドレスにしている人も多かった。今じゃ番号すら知らない人が殆どなのに。そう考えればいい時代だったのだろう
「面倒だから。しーさんなら平気でしょ」
「俺が悪い人だったらどうするの?」
「その時はその時」
「俺がいきなり電話しちゃうかもよ」
「いいよ。喋ろ」
「俺の番号知らないじゃん」
「大丈夫。俺設定何もしてないから。電話代やばい感じ?」
通話するのにもかけ放題では無く無料通話分が無くなったら結構な額を請求される時代だった
今は無料通話出来るSNSも充実しているがそんなもの無かった時代だった。
けど俺はそもそも電話をするタイプではないので無料通話分も数ヶ月分が貯まっていたから電話代は特に気にならなかった
「やばくはないけど」
「俺からかけようか。番号教えて」
「俺男だよ」
「何それ!?今更!!わかってて連絡してますよ」
「そうだよねぇ」
「俺に教えるの不安?」
「そんなんじゃ無いよ」
「まぁ無理にとは言わないよ。メールしてるだけでも楽しいし」
彼は優しいと思う。戯けながらも気にしてくれる彼に好感が持てたし声が聞きたかった。だから勇気を出して掛けてみることにした
「おう!びっくりした!しーさん?」
「うん」
「緊張してる?」
「少し…」
「何それ!相手俺よ?」
前から知ってる友人みたいに話し易い彼に安心して普段より沢山話せて気付けばもう日付も変わろうとしていた
「俺たち凄くない!?メールのやり取りも含めもう半日喋ってる!!」
「本当だね」
「よかったしーさんで。名残惜しいけどそろそろ寝る?」
本当はまだまだ一緒に話したかった。
「寝たくないなぁ…まだ話していたい…」
「え…」
自分でもそんな事言うなんて思ってもみなくて驚いてしまった。顔も知らない相手なのにそんなこと言われても困るだろうに俺は馬鹿だ…
「とも君っ!ごめんっ!!変なこと言って」
「何それ!?えぇ…えぇ…ちょ…待って…」
「切るね!!今日はありがとう!」
何を言われるかわからなくて怖くて急いで電話を切ってしまった。心臓がバクバク煩い…これって…
そう。俺は顔も知らないまだ出会って一日もたっていないとも君に恋してしまったのだ…初恋だと思う。
胸が痛い…顔が熱い…どうしよう…初恋なんていい思い出になんてならないよ…とにかく苦しいだけだ…この瞬間に失恋も経験してしまったのだ…告白もしていないのに何を言うのだと笑われそうだけどさっきの彼の動揺した声が答えだ
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