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第8話
「パパ」
「何だい?」
「明日からお友達と旅行に行ってきていい?」
「いいよ。お小遣いはどのくらいいる?」
「大丈夫。僕もお仕事してるんだから」
「そうだね。じゃあ…パパから餞別ね。何かあったとき使って。使わなければ貯金でもしておいたら?」
「うん。ありがとう。お土産何がいい?」
「ともちゃんが怪我せず帰ってきてくれるのが一番のお土産だよ」
「パパのだって印つけてくれる?」
「いや。お友達とセックスするときそんなのあったら盛り上がれないでしょう?だから我慢する。その代わり…ちょっと待っててね」
そう言って義父が一旦部屋を出た。
義父は別に俺の交友関係に口を出すことも嫉妬に狂い俺を縛り付けることもない。交際相手がいればそっちを優先させなさいと言うくらいで変な罰は与えない。むしろ相手と良好な関係を築くためにアドバイスや金銭面でも援助してくれる。乗ってる車も義父が買ってくれたようなものだ。
兄は俺みたいに性的なことはされたことはなく、今は都会でバーを経営している。勿論それに関しても義父が援助してくれたんだ。だから兄はこの人の事を尊敬している。
母も勿論俺とそう言うことをしているなんて思いもしないのだろう
「それなに?」
「ともちゃんがどうしてもっていうならこれ荷物に入れといて」
「ん?」
「小型のカメラだよ。俺に見られたいんでしょ?我慢できなくなったら使って。大丈夫そうならそのままでいいし」
「ん。わかった。パパ。ちゅーして」
「今日は甘えたさんだね」
「ん…だって明日から少しだけパパに触れないもん」
「ふふ…可愛いね。」
義父に触れられないと不安で仕方なくなる俺は人を好きになってはいけない…好きな人と結ばれてはいけない…
しーさん…それなのに…どうしてあなたのことばかりが思い出されるんだろう…
芽生えた気持ちにどう向き合えばいいんだろう…答えなんてわからないまま生きていくのだ…
この男に抱かれながら…他の人間たちと交わりながら…
完
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