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第1話
「ひまー」
今日もいつも通りメールを送る。それがとても楽しみだった
あの頃は今みたいにアプリなんかなくてメールもちゃんと届いたのか読んで貰えたのかそれもわからないままただ只管に返事を待つ。
その時間が嫌いじゃなかった。
「お疲れ様。今仕事終わったよ」
相手は恋人ではない只のメル友。けれど特別な人
初めて電話で話したときのほんわりした話し方と優しさが滲み出てる声。
聞いていて心地が良くて…話している内容は中身なんて覚えていないくだらない事だった
メールの文面からきっと話すのは苦手な人だろう。
そんな彼が一生懸命話してくれるのが何だか擽ったかった。
気付けば半日彼と話していた。そんなこと初めての事だった
「俺たち凄くない!?メールのやり取りも含めもう半日喋ってる!!」
「本当だね」
「よかったしーさんで。名残惜しいけどそろそろ寝る?」
本当はまだ話したい。けど彼の声が段々眠そうになったからこれ以上無理させるのも駄目だなって思って提案した。それなのに…
「寝たくないなぁ…まだ話していたい…」
「え…」
今…何て?…凄く甘えた声でそう言われ言葉が出なかった…俺と同じようにまだ話したいと思ってくれた事が嬉しかった。…今隣に彼がいたら抱きしめて…そして…そんな邪な思いを抱いていたら
「とも君っ!ごめんっ!!変なこと言って」
焦ったようにしーさんが言った。
「何それ!?えぇ…えぇ…ちょ…待って…」
違うのに…自分のこの思いに驚いただけなのに。
「切るね!!今日はありがとう!」
「違うっ…」
俺の否定の言葉は彼には届かなかった
「何だよ…これ…」
わからないけど泣けてきた
「やべ…泣くとかガキかよ…」
俺は顔も知らないまだ出会って一日もたっていないしーさんに恋してしまったのだ…俺の初恋だった
けれど…そんなこと俺にはあってはならないこと…
俺は好きな人を作ってはいけない…だけど…また話したい…会ってみたい…泣きそうに呟いた彼が心配だ…
直ぐに折り返すが相手が出ることは無かった。誤解させたままじゃ駄目だ…きっとしーさんは余計なこと考えているに違いない…
焦った俺は急いで家を出た
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