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第6話

「ほら!綺麗だよ!こっち来て」 呼び掛けると俺の隣に来てくれた…空に向かってカメラを向けシャッターを切った横顔が綺麗過ぎて… 「とも君。話がある」 真剣な表情だ…聞きたくないけど聞かなければならない…嫌な予感が当たりませんように…そんな願いも込めて少しだけ茶化したように聞いた 「ん?改めてどうしたの?もしかして結婚?」 「そう。先月ね」 幸せの絶頂の筈なのに…幸せそうじゃないのは何故? 「へぇ…おめでと…」 「ありがと」 「じゃあさっきの声は」 「うん」 「何かごめんね。呼び出して」 「ううん。会いたかったから…とも君。軽蔑されるかもしれないけれど…俺ね…やっぱり今も君が好きだ。けどさ…叶わない初恋を追いかけるのはもうやめる。俺は俺なりの幸せを生きてく。だからさ…君も幸せになってね…俺の思いは叶わなかったけれど君に出会えて本当によかった…大好きだよ。本当に大好きだ…」 その笑顔は偽物だ…。何かを諦めたような申し訳無さそうな…そんな笑顔… 「ねぇ…しーさん」 「ん?」 「本当に俺の事好き?」 「うん…自分でも驚いちゃうけれど…大好きだよ」 辛そうなしーさんをこのまま連れ去ってしまいたい…だけど…弱虫の俺は…何も出来なかったんだ… 「…好きだよ…しーさん」 「ありがと」 俺の言葉は届かない…そのまま背を向ける彼を静かに見送ることしか…出来なかった …貴方だけが特別な人だった…俺の初恋だったんだ… 終

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