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11.求め
「俺はとりあえず、あいつが目覚めたら、いくらか殴るつもりだ」
「……あー、うん。……えーと……。死なない程度に、な?」
ちょっとだけ引き攣った顔で答えれば、ルスは「善処する」と返した。
一応、俺の部下だからって事で、俺に事前許可を取ってくれてんのかな、これ。
俺が苦笑していると、ルスがイムノスを暗く見据えて言う。
「本当は、あいつもお前と同じ目に遭わせてやりたいとこだがな」
「えっ!?」
それって、ルスがイムノスを犯そうって、事……か……??
「……そんな顔をするな。お前が嫌だと思うだろうから、やめておく」
ルスが苦笑を浮かべて言う。俺は慌てて同意した。
「や、やめといてくれよ!? 俺、そんな、ルスが他の奴と――……」
考えただけで泣きそうなほど辛くなった、この気持ちは、ルスが今も捨てきれずに抱えている物だった。
気付いて、胸が詰まる。
……やっぱ、俺よりルスの方が、ずっと辛かったんじゃねーかな……。
「レイ。……だから、そんな顔をするな。お互い辛かったのだろう?」
ルスが少し緩めていた腕で、もう一度俺を抱き締める。
互いに辛かったなら、互いに慰め合えば良いのだと、言外に言われた気がした。
温かい胸と腕に包まれていると、すごく安心する……。
このまま眠ってしまいそうで、俺は目を細めた。
「ん……、俺も、ルスを慰めるよ……」
同じ気持ちが返したくて、そう言った俺の言葉に、ルスは低く笑って答えた。
「それは楽しみだな」
え? いや、そういう……その、そういう慰めるじゃなくてだな??
焦る俺を置いて、ルスの手が、俺の背を滑り落ちて後ろへと回される。
「早くここから、あいつのを全部出しておかなくてはな?」
言葉とともに、ゆっくり挿し込まれたルスの指が、思うよりずっと鮮明な快感を下腹部に伝える。
「あっ、ぅあ、ぁ……っ」
まだ薬が残ってるのか、それとも、ルスの指だからか。分からないけれど、ルスの指は、ゆっくり、俺を傷付けないように優しく、奥の方から俺の外へと繰り返し動く。俺は、次々与えられる刺激に喉を逸らして喘いだ。
「ぁあぁっ、ぅあ、あ、ああああんっ、や、あ、そこ……ん、やっ、あああっ」
それはそれは執拗な程に、俺の中に溜まった全てを掻き出そうと、余すことなく隅々まで擦り上げる。
「あぁぁっ、だめ、だ、っ、も……っ、もう、イッ……っっっ、っんんんっっ」
いつもの何倍もの快感が、背筋を通り抜けて頭まで、何度も何度も伝わる。
「こら、イったらまたあいつのが奥へ飲み込まれてしまうぞ?」
ルスがちょっと困ったような声で言う。
「あっ、や……、いや、だ……っっんんんっっっああっっ」
そう言われても、身体が全然言うことを聞いてくれない。
ルスの指が、ルスの触れるところが、熱くて熱くて、どうしようもなくじんじん疼いてしまう。
涙を滲ませて喘ぐ俺の様子に、ルスが小さく息を吐いて、仕方なく指を抜いた。
「ぁっ……、ルス……、ルス、嫌だ、抜かない、で……っ」
急激に失われた熱に、喪失感に、俺は身を捩る。
「大丈夫だ。お前を離すわけじゃない」
ルスは宥めるようにそう言って、俺の背を優しく撫でる。
けれど、熱に浮かされた俺の身体は、その刺激すらも快感に変えてしまう。
「ぅぅんんっ、背中、も……気持ち、い……っっ……う、あ……っ」
「まいったな……」
ルスの、困ったような呟きが、どこか熱っぽいのを感じる。
あ……、ルスも……、ルスもしたいんだ。
俺のこと心配してるから遠慮してるだけで、ルスはまだ俺のこと、抱きたいって、思ってくれてる……?
そう思うと、胸が苦しくなって、もうどうにもたまらなくなる。
俺のために、全ての動きを止めたルスの腕の中で、俺はルスの逞しい胸に縋った。
***
「ルス……、ルスの……入れ、て、ほしい……」
レイは、上気した頬に宝石のような青い瞳を潤ませて、俺の腕の中でそう言った。
散々嬲られた後で、もう、どこもかしこも痛むだろうに。
白い肌を朱色に染めて、レイは俺の胸元に頬を擦り寄せる。
もちろん俺だって、入れたいとは思うが……、それではあんまりだろう?
お前は薬で無理矢理……。
「……頼むよ、ルス……」
レイは、熱い息を俺の胸に吐いて、俺を見つめる。
懇願の滲んだ青い瞳。
求められて、既に立ち上がりつつあった俺のものに硬度が増す。
あいつに散々吸われた唇は、真っ赤に染まっていて、痛々しくて、艶めかしくて、やはりどこか許せない気持ちにさせられる。
「レイ……」
俺が葛藤する間に、レイは俺のものへと手を伸ばした。
レイは俺の服の上から、しっかり立ち上がってしまっているそれを大切そうに撫でる。
すりすりと頬を寄せて、そっと口付ける可愛らしい仕草に、俺の理性は揺らぐ。
レイが下衣を下ろそうとするので、躊躇いつつもそれを受け入れると、レイは嬉しそうに微笑んで、現れた俺のものを口内へと収めた。
温かなレイの口の中で、柔らかな舌で優しく撫でられて、俺の下腹部へ熱が集まる。
「俺、ルスのが、欲しい……」
銀糸を引いて、甘い声で、レイが誘う。
俺だって、お前が欲しいさ。
「だが、お前はまだ……」
思い切れない俺に、レイは涙の滲む声で縋った。
「ルス……、頼む……、俺にあいつのこと、忘れさせてくれよ……」
さっきまでの場面が胸に蘇った途端、カッと頭が熱くなった。
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