11 / 14

11.求め

「俺はとりあえず、あいつが目覚めたら、いくらか殴るつもりだ」 「……あー、うん。……えーと……。死なない程度に、な?」 ちょっとだけ引き攣った顔で答えれば、ルスは「善処する」と返した。 一応、俺の部下だからって事で、俺に事前許可を取ってくれてんのかな、これ。 俺が苦笑していると、ルスがイムノスを暗く見据えて言う。 「本当は、あいつもお前と同じ目に遭わせてやりたいとこだがな」 「えっ!?」 それって、ルスがイムノスを犯そうって、事……か……?? 「……そんな顔をするな。お前が嫌だと思うだろうから、やめておく」 ルスが苦笑を浮かべて言う。俺は慌てて同意した。 「や、やめといてくれよ!? 俺、そんな、ルスが他の奴と――……」 考えただけで泣きそうなほど辛くなった、この気持ちは、ルスが今も捨てきれずに抱えている物だった。 気付いて、胸が詰まる。 ……やっぱ、俺よりルスの方が、ずっと辛かったんじゃねーかな……。 「レイ。……だから、そんな顔をするな。お互い辛かったのだろう?」 ルスが少し緩めていた腕で、もう一度俺を抱き締める。 互いに辛かったなら、互いに慰め合えば良いのだと、言外に言われた気がした。 温かい胸と腕に包まれていると、すごく安心する……。 このまま眠ってしまいそうで、俺は目を細めた。 「ん……、俺も、ルスを慰めるよ……」 同じ気持ちが返したくて、そう言った俺の言葉に、ルスは低く笑って答えた。 「それは楽しみだな」 え? いや、そういう……その、そういう慰めるじゃなくてだな?? 焦る俺を置いて、ルスの手が、俺の背を滑り落ちて後ろへと回される。 「早くここから、あいつのを全部出しておかなくてはな?」 言葉とともに、ゆっくり挿し込まれたルスの指が、思うよりずっと鮮明な快感を下腹部に伝える。 「あっ、ぅあ、ぁ……っ」 まだ薬が残ってるのか、それとも、ルスの指だからか。分からないけれど、ルスの指は、ゆっくり、俺を傷付けないように優しく、奥の方から俺の外へと繰り返し動く。俺は、次々与えられる刺激に喉を逸らして喘いだ。 「ぁあぁっ、ぅあ、あ、ああああんっ、や、あ、そこ……ん、やっ、あああっ」 それはそれは執拗な程に、俺の中に溜まった全てを掻き出そうと、余すことなく隅々まで擦り上げる。 「あぁぁっ、だめ、だ、っ、も……っ、もう、イッ……っっっ、っんんんっっ」 いつもの何倍もの快感が、背筋を通り抜けて頭まで、何度も何度も伝わる。 「こら、イったらまたあいつのが奥へ飲み込まれてしまうぞ?」 ルスがちょっと困ったような声で言う。 「あっ、や……、いや、だ……っっんんんっっっああっっ」 そう言われても、身体が全然言うことを聞いてくれない。 ルスの指が、ルスの触れるところが、熱くて熱くて、どうしようもなくじんじん疼いてしまう。 涙を滲ませて喘ぐ俺の様子に、ルスが小さく息を吐いて、仕方なく指を抜いた。 「ぁっ……、ルス……、ルス、嫌だ、抜かない、で……っ」 急激に失われた熱に、喪失感に、俺は身を捩る。 「大丈夫だ。お前を離すわけじゃない」 ルスは宥めるようにそう言って、俺の背を優しく撫でる。 けれど、熱に浮かされた俺の身体は、その刺激すらも快感に変えてしまう。 「ぅぅんんっ、背中、も……気持ち、い……っっ……う、あ……っ」 「まいったな……」 ルスの、困ったような呟きが、どこか熱っぽいのを感じる。 あ……、ルスも……、ルスもしたいんだ。 俺のこと心配してるから遠慮してるだけで、ルスはまだ俺のこと、抱きたいって、思ってくれてる……? そう思うと、胸が苦しくなって、もうどうにもたまらなくなる。 俺のために、全ての動きを止めたルスの腕の中で、俺はルスの逞しい胸に縋った。 *** 「ルス……、ルスの……入れ、て、ほしい……」 レイは、上気した頬に宝石のような青い瞳を潤ませて、俺の腕の中でそう言った。 散々嬲られた後で、もう、どこもかしこも痛むだろうに。 白い肌を朱色に染めて、レイは俺の胸元に頬を擦り寄せる。 もちろん俺だって、入れたいとは思うが……、それではあんまりだろう? お前は薬で無理矢理……。 「……頼むよ、ルス……」 レイは、熱い息を俺の胸に吐いて、俺を見つめる。 懇願の滲んだ青い瞳。 求められて、既に立ち上がりつつあった俺のものに硬度が増す。 あいつに散々吸われた唇は、真っ赤に染まっていて、痛々しくて、艶めかしくて、やはりどこか許せない気持ちにさせられる。 「レイ……」 俺が葛藤する間に、レイは俺のものへと手を伸ばした。 レイは俺の服の上から、しっかり立ち上がってしまっているそれを大切そうに撫でる。 すりすりと頬を寄せて、そっと口付ける可愛らしい仕草に、俺の理性は揺らぐ。 レイが下衣を下ろそうとするので、躊躇いつつもそれを受け入れると、レイは嬉しそうに微笑んで、現れた俺のものを口内へと収めた。 温かなレイの口の中で、柔らかな舌で優しく撫でられて、俺の下腹部へ熱が集まる。 「俺、ルスのが、欲しい……」 銀糸を引いて、甘い声で、レイが誘う。 俺だって、お前が欲しいさ。 「だが、お前はまだ……」 思い切れない俺に、レイは涙の滲む声で縋った。 「ルス……、頼む……、俺にあいつのこと、忘れさせてくれよ……」 さっきまでの場面が胸に蘇った途端、カッと頭が熱くなった。

ともだちにシェアしよう!