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誰もが羨む家庭を築くのが夢でした

「貧しくてもいいから、人並みの穏やかな生活を送りたい。大好きな彼と蒼生さんと静かに過ごせればそれで私も千里も十分幸せでした。私と遥琉は正反対の人生を送ってきました。育った環境も、置かれている立場も、性格も、好きなものも嫌いなものもすべて正反対。だから喧嘩なんてしょっちゅう。日常茶飯事です。それでも一緒にいれたのは、夢があったから」 「夢?」 「誰もが羨む幸せな家庭を築くことです。それが私と遥琉の夢です。一に伴侶、二に家庭、三に組、四に仲間ーー」 私の他愛もない昔話に紗智さんと那和さんが耳を傾けてくれた。 「でもなんでバーバと一緒にならなかったの?」 「それはですね、真沙哉さんが破門になり、彼が跡目になってしまったからです。ヤクザは縦社会。龍一家の上の組織が昇龍会です。本部の組長である秦さんの命令は絶対です。那奈さんとの縁談を受け入れなければ、龍一家を潰すと脅されました。ヤクザを辞めるのも続けるのも地獄です。家族同様の存在である組員を路頭に迷わせないために遥琉は泣く泣く縁談を受け入れるしかなかったんです」

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